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記者の眼

著名病院同士が合併、病院大再編時代の幕開け

編集:日経メディカル開発、東日本税理士法人
判型:B5判、250ページ
発行:日経メディカル開発
定価:4000円+税
発行予定日:2017年2月23日(Amazonで予約受付中)

2015年に出版した『病院再編・統合ハンドブック』(第1版)の全面改訂版。2017年4月よりスタートする新制度「地域医療連携推進法人」と2015年に出された「新公立病院改革ガイドライン」を徹底解説。地域医療連携推進法人については、制度の分かりやすい解説に加え、政省令含め関連法律を全て掲載。実際に取り組む各地の事例も豊富に紹介している。

 2016年の暮れ、全国の病院経営者に衝撃的なニュースが走った。

 東京都杉並区に本拠を置き河北総合病院などを経営する社会医療法人・河北医療財団と、東京都多摩市に本拠を置き天本病院などを経営してきた医療法人財団天翁会が12月1日付で合併したのだ。存続法人は河北医療財団。天翁会は12月からは河北医療財団多摩事業部として、これまで通り経営を継続している。

 河北医療財団の理事長は、かつて日本病院会副会長を務め、現在は日本医療機能評価機構理事長も務める河北博文氏。長きにわたって日本の病院経営をリードしてきた一人だ。一方の天本病院を経営していた天翁会の前理事長・天本宏氏は、「老人の専門医療を考える会」の初代会長として、日本の老人医療の質向上に貢献してきた。また、日本慢性期医療協会初代会長、全日本病院協会副会長、日本医師会常任理事なども歴任した。

 河北医療財団多摩事業部のウェブサイトにはこの合併について、「事業規模の拡大とサービス機能の相互補完を図ることができ、より安定した事業経営と将来的な事業基盤を強化することが可能となります。また、社会医療法人への統合合併により、更なる公益性の高い地域医療を目指すことができます」と書かれている。

地域医療連携推進法人、間もなくスタート
 折しも、2017年4月に「地域医療構想を達成するための1つの選択肢」という触れ込みの地域医療連携推進法人制度がスタートする。本コラム「記者の眼」でも2016年8月3日に「地方の病院を壊滅から救う“特効薬”」のタイトルでこの制度について紹介したが、1年前、2016年1月の段階では、河北医療財団はこの地域医療連携推進法人の設立を視野に地域での連携体制の構築を計画していた。同法人の広報誌『かわぴたる』2016年1月号に河北理事長自らが「我々の財団も積極的にこの様な機能を構築したい」と書いていたからだ。

 日本の病院医療を牽引してきた2人の経営者の法人同士が、「“連携”よりも強く“合併”よりも緩い制度」といわれる地域医療連携推進法人を“飛び越し”て、一気に合併に至ったという事実は興味深い。病院再編・統合の波が、いよいよ民間病院にも本格的に押し寄せて来ることを予感させる。

 なお、この2法人の合併の詳細については、近日、日経ヘルスケア、日経メディカル Onlineで詳報する予定だ。

再編を推し進める制度や仕組みが目白押し
 病院の再編・統合の流れが始まったきっかけの一つは、2007年12月に総務省自治財政局長通知によって示された「公立病院改革ガイドライン」だ。同ガイドライン以降、全国各地で公立病院の再編・統合が活発化した。

 同ガイドラインは2015年3月に「新公立病院改革ガイドライン」として改訂され、再編・統合の流れに拍車がかかった。新ガイドラインは、病院の「再編・ネットワーク化」、いわゆる病院統合に重点が置かれた。公立病院の統廃合を進めるため、統廃合などを伴う新築や建て替えには、事業費の40%が普通交付税で措置されるなど、財政支援の仕組みが大幅に見直された。一方で、運営費に係る交付税措置は減額が決まった。病床数に応じた地方交付税措置が、それまで許可病床を基に算定されていものが、稼働病床に変更された。経過措置があるとはいえ、病床稼働率が低い公立病院は将来、交付税が激減することになる。

 その結果、公立、公的、民間を問わず、近隣の病院との再編・統合が生き残り策としてクローズアップされだした。新ガイドラインにはそれを見越して、「地域医療構想を踏まえて当該公立病院の役割を検討した結果、公的病院、民間病院等との再編が必要になるケースも生じてくると考えられる」と記されている。
 
再編・統合を考える際の“参考書”
 そして、間もなく出そろう各都道府県の地域医療構想は、全国の病院に再編・統合をさらに迫るものとなるだろう。

 地域医療構想では、2025年の構想区域(2次医療圏)における各医療機能の必要量と、目指すべき医療提供体制が明記され、病院の“棲み分け”の議論が本格化する。「協議の場」(地域医療構想調整会議)における話し合いによって、医療機関が自主的に役割分担を決める──となってはいるが、本当に建設的な協議が行われ、実効性のある役割分担が実現できるかどうかは分からない。権限が強まった都道府県知事が主導権を取る形で、地域の病院の再編・統合を半ば強制的に進めていく可能性もある。

 そんな中、「自主的な機能分化・連携を推進する」ためのツールとして、2015年の医療法改正によって厚生労働省が用意したのが、地域医療連携推進法人というわけだ。

 昨年8月3日の「記者の眼」では、日本海総合病院(山形県酒田市)、カレスサッポロ(札幌市)と北海道医療大学、相良病院(鹿児島市)など、地域でリーダーシップを取る医療機関が地域医療連携推進法人設立の検討を始めたと書いた。その後も、地域医療連携推進法人への取り組みは増えている。12月には愛知県豊明市の藤田学園藤田保健衛生大学が、同大学附属病院を核に、愛知県東部地域の10を超える医療機関・介護施設と地域医療連携推進法人の設立に向け検討に入ったことが明らかになっている。

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