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記者の眼

患者が求める「ありきたり」でない医療情報とは

 ディー・エヌ・エーDeNA)の医療情報サイト「WELQ」(ウェルク)の閉鎖に関する記者会見の記事を読んでいて、1点だけ「おっ」と納得するところがあった。その前身である「メドエッジ」についての南場智子会長のコメントである。

 2016年12月13日に日経ビジネスOnlineに掲載された記事(DeNA南場氏「医療情報、ネットは役に立たず)からそのまま借りると、「メドエッジでは難しい学術論文を、一般の患者家族や健康に関心あるひとに、わかりやすく届けるということを目標にしてきた。医療ライターや医療関連の編集者がついていた。収益性が悪くなったというより、ユーザー数が伸びなかった。・・・(中略)・・・専門的な情報を私達のような素人に届けることを、ビジネスとして続けられる解を見つけられなかった。現時点でも見つかっていない」。

「センターからはありきたりの回答しか得られない」
 ネットは役に立たずと言われてしまったが、実は我々も、「がんナビ」という癌患者とその家族を対象にしたウェブサイトを2005年から運営している。今から数年前、日本癌治療学会学術集会の会長から「癌患者向け商業サイトの運営について報告せよ」との命を受け、学術集会での発表の最後に広告掲載企業一覧を出したらフロアから「すごい利益相反ですね」との声が上がったが、商業サイトというのはそういうもの、収益あってのものということは分かっていただきたい。

 とはいえ、不正確な記事が並んでいるのは、言うまでもなくあってはならないこと。広告掲載のお願いにいくと「ページビューが一桁足りないんじゃないですか」と言われたことも多々あり、それでも支援してくださっている企業の方々には深く感謝している。

 がんナビを立ち上げた当時は国立がん研究センターの「がん情報サービス」もなく、癌患者への情報提供という点で一定の役割を果たしてきたと自負しているが、最近の同サイトの充実ぶりを見るにつけ、もうがんナビは使命を果たしたのではないかと思うこともあった。しかし今回の騒動で、正確な情報提供をという点で決意を新たにしたところだ。

 などと考えながら、2016年11月22日に開催された第62回がん対策推進協議会の資料を読んでいたら、今度は「おやっ」と思ってしまった。「がんに関する情報提供、普及啓発について」という資料の中の、若尾直子委員の「がん対策情報センターの内容も関係者の努力の結果とても充実している。しかしこの情報にたどり着き、自分のための情報として処理できる患者・家族はそれほど多くはない」という記述と、勢井啓介委員の「医療者・相談支援センターが先陣を切って進める役目を負っているはずですが、患者・国民への周知不足はもちろんのこと、ありきたりの回答しか得られないことで、ネット・書籍などへ入り込んでしまっている」という記述に対してだ。いくら情報があっても、患者はそれを自分のこととして解釈できるまでには至らず、自分のことでなければ満足できないということだろうか。
 

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