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記者の眼

癌患者の治療と就労の両立に欠かせない「連携」

 近年、癌化学療法の進歩に伴い、癌患者が治療と並行して仕事を続けることが可能になってきたが、医療機関や職場の支援連携体制が十分でなく退職を余儀なくされるケースは多い。

 順天堂大学衛生学講座の武藤剛氏らは今年4月の日本内科学会講演会で、「がん治療就業両立支援のための産業医主治医の連携──職域での事例分析からみたがんとの共生への課題」と題する発表を行い、次のような事例を報告している。

 65歳の胃癌男性患者。契約社員での就業条件(週○日勤務)と治療の必須条件(通院日数に関する主治医判断)が折り合わず退職。主治医からの情報提供書には「がん治療による通院を考えると就業は困難である」と明記されていた。勤務先の産業医は「両立できる方法を模索したかったが、主治医意見の重みが優先された」と振り返る。

 64歳の卵巣癌女性患者。手術のため休職。本人から復職の申し出があったが、人事部は断続的な化学療法に伴う休みに急には対応できず代替要員も確保できないからと難色を示す。産業医は、この時点で初めて患者の休職を把握。急いで主治医に化学療法のスケジュールや副作用を照会するも対応の遅れは否めず結局、患者は復職がかなわずそのまま退職した。

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