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記者の眼

薬局が軽症患者のファーストアクセスの場に?

2016/01/18
富田 文=日経ドラッグインフォメーション

 現在は「処方箋の応需」という画一化されたサービスを提供する保険薬局の一部が、今後、地域住民の健康相談やOTC薬によるセルフメディケーションの推進などの機能を積極的に担う可能性があることをご存じだろうか。

 2015年秋に厚生労働省の検討会が報告書をまとめ、新設が決まった「健康サポート薬局」は、医師と連携して糖尿病予防教室や認知症の早期発見のための取り組みなどを行うほか、かぜや軽い擦り傷などの軽症患者のファーストアクセスの場としての機能を求められている。医師にも大いに関係がある話題なので、簡単に紹介したい。

背景に国が進める「セルフメディケーションの推進」
 近年、調剤のみを行う薬局が多くなり、「保険薬局は処方箋を持って行くところ」という認識が国民に広がっている。しかし、医療保険財政が危機的な状況にある中、国は薬局という資源を活用して、薬剤師にOTC薬によるセルフメディケーションの推進や、健康相談への対応、健診や医療機関への受診勧奨などの役割を担わせることで、国民の健康増進と医療費の抑制の両方を実現させようとしている。

 こうした考えから、2013年6月に閣議決定された「日本再興戦略」に「薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進」という文言が盛り込まれた。これを受けて、厚労省は2014年度から「薬局・薬剤師を活用した健康情報拠点推進事業」を開始。2015年6月に「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」(座長:昭和薬科大学長の西島正弘氏)を設置して、6回の会合を開き、9月に同検討会の報告書「健康サポート薬局のあり方について」を公表した。

 報告書では「健康サポート薬局」を、「かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加え、地域住民の主体的な健康増進を積極的に支援する薬局」と定義。具体的な要件として、OTC薬の取り扱いや健康相談、関係機関への紹介などに関する研修を修了した薬剤師の常駐、健康サポートに関する具体的な取り組みなどが示された。今後、国は地域住民が、どの薬局が健康サポート機能を有する薬局であるかを把握できるよう公表する仕組みを作る方針だ。

 薬局で健康相談を行ったり、OTC薬によるセルフメディケーションが推進されることには、反対意見も多い。検討会の議論でも、「健康づくりはかかりつけ医に任せてほしい」(日本医師会常任理事の羽鳥裕氏)、「医療機関からみれば(調剤)薬局でOTC薬を置いてほしくない」(同)、「薬局が住民から受ける健康相談とは何か。どのような相談を薬剤師が(能力的に)受けることができるのかを明確にすべき」(日本看護協会常任理事の中板育美氏)といった意見が出された。

 一方、自治体や患者会、保険者側には、この動きを歓迎する意見が多かった。「医療資源が乏しい地方では、ネット販売で薬を購入する人が増え、薬について相談する機会が減っている。健康サポート薬局で、地域住民が薬について、自分の生活や健康も含めて薬剤師に相談できるようになることを期待している」(北海道江別市長の三好昇氏)との意見や、「OTC薬について安易な使い方をしている患者は多い。健康サポート薬局でOTC薬への注意喚起や、OTC薬を含めた服薬情報の一元管理やお薬手帳への記入を行ってほしい」(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏)との意見が出された。
 

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