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 「ピシャット」「ペロット」「ピタリット」。これはある物の商品名だ。すぐに分かる読者はどのくらいいるだろうか。

 答えは、OTC薬の下痢止めの商品名。「ピシャット」(発売元:大幸薬品)はタンニン酸ベルベリンとロートエキス散20%を配合する顆粒剤、「ペロット下痢止め」(ゼリア新薬工業)はロペラミド塩酸塩単味のフィルム剤、「ピタリット」(大正製薬)はロペラミドにベルベリン塩化物水和物と消化酵素ビオヂアスターゼ2000、ビタミンB1、ビタミンB2を配合したフィルムコーティング錠。

 ご存じのように、ロペラミドは「ロペミン」をはじめとする医療用医薬品としても広く用いられている。最近では、抗癌剤のイリノテカン塩酸塩水和物(商品名カンプト、トポテシン)の副作用である下痢に対して用いるケースも多いようだ。OTC薬は一般に、「副作用リスクが少ない医薬品」として認識されているが、ロペラミドのように、医療用医薬品と同じ種類、同じ量の有効成分を配合するOTC薬も多数ある。

 ピシャッと、ピタリと下痢を止める。いつでもどこでもペロッと服用できる──。商品名はそんな特長を実にうまく言い表していると感心する。その一方で、配合成分や配合量、剤形を正確に読み取ることができない商品名は、薬剤の不適正使用を招くリスクになるのではないか。そんな懸念が頭をよぎる。

 その他にもこんな例がある。解熱鎮痛薬の「バファリン」(発売元:ライオン)。よく知られている「バファリンA」は、1錠中にアセチルサリチル酸(アスピリン)330mgと合成ヒドロタルサイト100mgを配合している。それに対し、「小児用バファリンチュアブル」はアセトアミノフェン50mg(1錠中)の単味製剤だ。医療従事者にとっては、小児の解熱にはアセトアミノフェンを用いるのは当然のことかもしれないが、一般消費者にとっては混乱の要因にほかならないだろう。

 また、「パブロン」や「コーラック」(いずれも大正製薬)のように、同一のブランド名の下で、配合成分が少しずつ異なる製品を複数展開していることもOTC薬の特徴だ。コーラックの場合、内服薬には「コーラック」「コーラックファースト」「コーラックII」「コーラックソフト」「コーラックファイバー」「コーラックハーブ」があるが、これらの商品名からは、それぞれの製品の特徴がぼんやり浮かぶものの、配合成分や配合比は明らかではない。

 例として、便秘薬のブランドである「スルーラック」(エスエス製薬)の商品ラインアップを表1にまとめた。ご覧の通り、「スルーラックデトファイバー」と「スルーラックデトファイバーM」の有効成分は全く同じ。どうやら、商品名末尾の「M」が意味するのは、マンゴー風味のことのようだ。

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