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記者の眼

世界で最も有望視されるASEAN医療マーケット
その動向を詳細に分析したレポート登場

 欧米の先進国がリーマンショック以来の不況から抜け出せず、中国の経済成長も減速する傾向が見えてきた中で、ASEAN(東南アジア諸国連合)は世界で最も成長が期待される有望な市場だといわれている。

 2013年にはASEAN10カ国のGDP(国内総生産)の合計が2.4兆ドルとなり、世界経済の3.3%に相当した。国民1人当たりのGDPでは、最も高いレベルのシンガポールから後発組のミャンマー、カンボジア、ラオスまで経済的な発展段階は異なるものの、リーマンショック後も各国のGDPは成長し続けている。

 ASEAN全体の人口はEU(欧州連合)や北米よりも多く、約6億人を擁する。しかも、年収1万米ドルを超える中間所得層世帯の割合も各国で増え続けている。タイの軍事クーデターによる観光業への打撃など、政治的な変動要因から一時的にブレーキが掛かる可能性はあるが、ASEAN全体では今後も経済成長が続くと予想されている。

 このように有望な市場を見過ごす手はない。というわけでASEANの医療を知る手掛かりとして、日経メディカルでは『ASEAN医療マーケットレポート』を作成した。

 これはシンガポールのClearstate社が独自の調査に基づいて作成した『Healthcare Landscape in ASEAN』を翻訳した書籍だ。同社は英国The Economist Intelligence Unitのヘルスケア専門リサーチ・コンサルティング部門であり、東南アジア最大級の調査会社として各国にコンサルタントチームを配置している。

 本レポートでは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの4カ国について、人口動態、医療費の動向、病院などのインフラ整備状況、医療従事者のスキルや教育レベル、各国の医療プロセス、規制環境さらに保険償還制度など、医療市場を取り巻く環境を包括的にまとめた。また、各国の主要なディストリビューターのリストも収録した。Clearstate社は医療機器の市場データに特に強みを持っていることを生かして、本レポートでは画像診断機器のマーケットシェアと市場予測も掲載している。

 これを見て改めて感じたのが、欧米有名ブランドの強さだ。シーメンス、フィリップス、GEの3社で、インドネシアでは画像診断機器シェアの約7割、マレーシアでは約8割、フィリピンでは約7割、タイでは約6割を抑えている。特にCT、MRI、PET、SPECTなどの高額医療機器で圧倒的な強さを発揮している。

 一方、我が国のメーカーが健闘しているのは、価格競争が発生しやすい超音波とX線であった。この4カ国に共通しているのは、医療ツーリズムを推奨していることだ。各国の代表的な病院は、海外からも患者を受け入れるため、最新鋭の医療機器を更新していくと予想され、画像診断機器の市場も成長が予測されている(図1)。

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