日経メディカルのロゴ画像

 2015年度介護報酬改定のスケジュールが、大幅にずれ込むことになりそうだ。安倍晋三首相が消費税率10%への再引き上げを2017年4月に延期し、衆議院を解散。「アベノミクス解散」による衆議院議員総選挙が、12月14日に投開票される。これまで12月に総選挙があったケースで、予算編成が越年しなかったことはない。関係者の情報を総合する限り、今回もどうやら越年は避けられない見通しだ。

 介護報酬改定では通常、年内に全体の改定率が明らかになり、翌年の1月中下旬に諮問答申が行われる。前回の2012年度改定では、2011年12月21日に改定率が発表、翌1月25日に答申が行われた。今回は予算編成の遅れに伴い、これらのスケジュールが後ろ倒しにならざるを得ず、改定率の発表は越年の公算が強い。また答申は例年から1~2週間ほど遅れる可能性がありそうで、2015年1月末から2月半ばという線が濃厚になってきた。

全体の改定率はマイナスに転じる可能性大
 肝心の改定率にも、少なからぬ影響が予想される。

 衆議院を解散した11月21日の閣議後会見で、麻生太郎副総理・財務相は消費増税の延期に関して「延期する以上は、社会保障の充実も見直さざるを得ない」と述べた。このうち、既に年金関連の施策は先送り、一方の子育て支援は2015年4月から予定通り開始することがほぼ決まっている。肝心の医療・介護サービスの提供体制の行方が定まっていない。

 筆者が気になるのは財務省の姿勢の変化だ。今回の解散は、財務省にとって“敗北感”が強いはずだ。消費再増税の延期を阻止すべく、財務省は議員や有識者の説得に全力を挙げてきた。しかし、安倍首相に解散権という“伝家の宝刀”を抜かれたわけで、結果として官邸との争いに敗れた格好。2020年度を目途とした基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化という財政健全化に向けた歩みは、一時後退を余儀なくされた。

 だからこそ、年末に向けた予算編成における各省との調整に、財務省は厳しい姿勢で臨まざるを得ない──そう筆者は考える。しかも、消費税率引き上げ前の2014年10月の段階で、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の議論で「介護報酬基本部分に係る適正化」で「マイナス6%程度の引き下げが必要」という物議を醸す文言を入れてきた。これは喫緊の課題である介護職員の人材確保策として、介護職員処遇改善加算を大幅に拡充することは認める一方で、基本報酬などを引き下げてバランスを取るという意味だ(図1)。

この記事を読んでいる人におすすめ