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記者の眼

「データによる制御」時代を病院はどう乗り切る

 10月からいよいよ病床機能報告制度が始まった。同制度は、各病院・有床診療所が有する病床の機能の「現状」と「今後の方向」を、病棟単位で都道府県に報告させるというもの。2015年度からは、その情報を基に各都道府県が地域医療構想(ビジョン)を策定し、医療計画に反映させた上で、病床機能の整理を加速させる。

 恐らく、ここまでの情報は読者の皆様は既に何度も見聞きしていることだろう。では、なぜそうした制度が始まるのか。その狙いの一つに、「データによる制御」を進めたい国の強い意向がある。

 病床機能報告も地域医療ビジョンの策定も、今年6月に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)に盛り込まれた施策である。同法は、社会保障と税の一体改革に関する個別法の1つという位置付けだ。

 大元の社会保障制度改革の根幹をなすのは、2013年8月に社会保障制度改革国民会議が取りまとめた報告書。国民会議の結論を一口にまとめると、国民皆保険を維持するためには医療そのものが変わらなければならず、医療提供体制の改革が必須との点に尽きる。

 その中で、日本の医療の一番の問題として掲げたのは、「制御機構がないままの医療提供体制」だった。民間病院が多いことなどから、日本では医療政策に対して国の力がさほど強くない。政府が強制力をもって改革ができない以上、「データの可視化を通じた客観的データに基づく政策」「データによる制御機構をもって医療ニーズと提供体制のマッチングを図るシステムの確立」が必要であるとした。

 こうしてデータを重視する流れの中で、病床機能報告制度が始まり、地域医療ビジョンも策定されることになったのである。

既に進みつつあるデータ活用
 今やデータによる制御機構の実現可能性が高まっているのも事実だ。患者の臨床情報や診療行為情報に関わる詳細なデータ提出が求められるDPC(診断群分類)に基づく診療報酬の支払い制度は、導入から10年以上が経過し、現在は一般病床の60%近くがDPC病床(DPC算定病床とDPC準備病院病床の合計)となっている。

 2012年度からは、入院だけではなく外来のデータも収集されるようになった。さらに、2014年度診療報酬改定では、7対1入院基本料と地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を算定する場合は、2015年4月1日以降、DPCデータの提出を評価する「データ提出加算」の届け出が義務化された。ここで詳述はしないが、以前も触れた通り、国の政策動向を見る限り、いずれ全病院でDPCデータの提出が必須となると見ていいだろう(関連記事:「DPCデータ出すも地獄、出さぬはもっと地獄?」)。

 このほか、急速に進んだレセプトデータの電子化も、データによる制御の実現可能性を確実に高めている。

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