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 最近、知り合いの看護師から転職の相談を受けた。彼女が勤めている急性期病院では今、出産ラッシュ。復職者も短時間勤務が増えている。そうした事情に伴って、独身の彼女は夜勤回数やリーダー業務の担当日が増え、複数の委員会活動まで任されているという。

 「事情が事情なだけに嫌とも言えないですよね。病院は託児所を作ったりして育児との両立には力を入れているみたいだけど、ここにいても自分は大変になるばかりでやりがいを見いだせない。今後のキャリアパスも見えません」。疲労困憊といった様子だ。

 医療現場でも介護現場でも看護師不足が深刻な中、ワークライフバランスの推進に力を入れる職場は、もはや珍しくない。人材募集の際に、「ワークライフバランス重視」「充実した子育て支援」「短時間勤務制度あり」といったアピールをすることは、看護師を確保する上で必須になりつつある。

 ただ、看護師確保策について取材を進めていると、子育てに携わる職員への待遇を優先するあまり、フルタイム勤務の職員などに業務のしわ寄せが行き、モチベーションを下げてしまっているケースが少なくないと感じる。フルタイム勤務者の不満が高まれば、柔軟な働き方を認め合う雰囲気はなくなり、結局、どの職員にとっても「働きにくい」職場となってしまう。冒頭のように、貴重なフルタイムの戦力を失うリスクもある。

 本来、ワークライフバランスは、子育てや介護に携わっている職員のためだけの考え方ではなく、全職員の働き方を見直し、業務効率化やモチベーション向上などを図り、生産性を上げて収益改善にもつなげるもの。制度をつくる上で重要なのは、複数の柔軟な働き方を用意した上で、職員間で不平等を感じにくい仕組みすること。そして、それぞれの働き方で達成感を持てるようにすることだ。
 
 医療業界に限らず、そのような仕組みをつくるのは実際には難しいが、取材を進めると、全員が働きやすい職場を実現するため、先駆的に取り組んでいる事例もあった。特に効果的だと感じた1つのケースを紹介しよう。

夜勤時間短縮し、子育て中でも夜勤可能に
 石川県小松市の医療法人勝木会やわたメディカルセンター(258床)は、2011年12月から、12時間夜勤体制を採用している。看護師の4人に1人が未就学児を抱える同院では、2009年から仕事と生活を両立しやすい職場づくりに注力。その後、看護師は増えたものの短時間勤務者などが多く、夜勤の負担が一部の看護師に集中するという課題があり、新たな対策が求められていた。

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