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 患者が診察室に入ってきた時に、ちらっと見やっただけ。後は電子カルテに向かったままキーボードをカタカタ叩きながら患者の訴えを聞き、一通りの問診を終えると「問題ないですね。お大事にどうぞ」のそっけない一言──。

 記者が患者として病医院を外来受診した数少ない経験の中ではあるが、医師にそんな態度を取られたことは一度や二度ではない。そんな時、「もう二度と来るものか」と憤ると同時に、「あの医師は、きっと私の顔なんて覚えていないのだろうな」と寂しく感じる。

 患者は不安や苦しみを少なからず抱えて、医療機関を受診する。患者によっては、一縷の望みを抱いて受診し、医師に話を聞いてもらいたいと思っている人もいるだろう。その時、医師、看護師、薬局の薬剤師などに冷たくあしらわれると、患者は心理的にますます追い詰められてしまう。

 福井大学病院総合診療部教授の林寛之氏によると、医師に対する不満として特に多いのは、「私に触れてくれなかった」「私の顔すら見なかった」の2つだそうだ。患者にとって、医師には手当て(診察・治療)を行ってもらうことはもちろん、それ以前に、人としてきちんと向き合ってほしいという欲求がいかに大きいかがうかがえる。

 患者とのコミュニケーションにさりげなく気を配ることで、治療効果をアップさせたり会話を楽しいものにしたりする方法はあるはず。そんな思いから、薬剤師向け月刊誌『日経ドラッグインフォメーション』2014年4月号では、「聞く力&伝えるココロ」と題する特集記事を企画し、患者とのマンツーマンのコミュニケーションに関するコツや秘訣をまとめた。

話したい!と思わせる基本の「あいうえお」
 「人は、自分が『話したいな』と思う相手にはどんどん話すけれど、『聞いてくれていないな』と思う相手には話そうとしないという法則がある」。そう話す林氏は、患者の話を「聞く」ための基本姿勢として、10項目を挙げる(表1)。アイコンタクトや相づち、笑顔など、少し意識するだけで印象は大きく変わる。

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