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 3月20~22日に横浜市で開催された第86回日本胃癌学会総会で、重要な発表がなされました。発表直後、演者らが記者会見を開催したことからも、すぐにでも広く周知したいという気持ちが伝わってきました。

 それは、1つの非治癒因子のみを有する治癒切除不能進行胃癌に対して、胃切除術+術後化学療法は、化学療法のみを行う場合に比べて全生存期間(OS)を改善しないという結果です。日本と韓国から患者を登録した多施設共同ランダム化比較第3相試験であるJCOG 0705試験(REGATTA試験)から示されたものでした(詳細記事はこちらから)。

 肝転移や腹膜播種などの非治癒因子を有し、治癒切除ができない進行胃癌の場合、標準治療は化学療法となっています。しかし、従来の化学療法では胃原発病変への治療効果が低く、その結果、化学療法を行っていても狭窄や出血などの症状が起こり、QOLが低下してしまうなどの課題がありました。主病変である胃原発巣を切除して腫瘍量を減らす手術(減量手術)を行えば、こうした症状を回避することが期待でき、また化学療法の標的となる病巣が少なくできることから、実際の診療の現場ではまず減量手術が行われてきた経緯があります。この実地診療で行われた減量手術により生存期間が延長するという報告も過去になされてきました。

 この減量手術が実際に予後を改善しているかどうかを、前向きにきちんと臨床試験で検証しようと取り組んだのがREGATTA試験でした。

 対象となったのは、肝転移、腹膜播種、大動脈周囲リンパ節(16a1/b2)のいずれか1つの非治癒因子のみを持つ患者さんです。これらの因子を1つだけしか持たない患者さんであれば、胃原発巣を切除してしまってから化学療法を行った方がOSを改善するだろうと期待されたのです。

 しかしながら、結果は、中間解析の時点で既に減量手術+術後化学療法群は、化学療法のみを行った群に比べてOSを改善しないことが明らかになり、このREGATTA試験そのものを中止すべきと勧告されました。生存曲線ではむしろ化学療法のみを行った群に比べて下回っているという結果でした。

 この結果から言えることは、「1つの非治癒因子のみを持つ進行胃癌に対しては、まず化学療法を行うべきである」ということだそうです。

 なぜ、これまで実地診療で行われ、生存を改善するだろうという報告さえあった減量手術が、今回予後改善の成績を示せなかったのでしょうか。
 

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