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 2月12日、中央社会保険医療協議会は2014年度の診療報酬改定を厚生労働大臣に答申した。今回の改定には、高度急性期病床の絞り込み、在宅医療の充実など幾つかの柱があるが、筆者が最も注目したのは「地域包括診療料」の創設だ。

 これは主治医としての役割を担う医師が、複数の慢性疾患を有する患者に対し、継続的な外来診療に加え、他の医療機関での処方薬を含む服用薬の一元的な管理、検診や健康相談、介護保険に関する相談などを行った場合に算定する点数。200床未満の病院と診療所を対象にしたもので、再診料や訪問診療料のほか、急性増悪時に行う検査・処置に係る一定点数が包括されている(NEWS◎包括払いの「主治医報酬」は1503点に)。

 国は2025年までに、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを高齢者に一体的に提供する「地域包括ケアシステム」を、全国の中学校区ごとに整備することを目指している。地域包括診療料は、そこでの主治医の働きを先取りする形で評価した点数と位置づけられる。

 だが、筆者が地域包括診療料の新設に着目したのは、そうした理由からだけではない。むしろ気になったのは、その算定要件に「原則として院内処方を行う」という文言が含まれていたことだ。

 厚生労働省は1990年代初頭から20年以上にわたり、医薬分業を強力に推し進めてきた。薬価差益の縮小や診療報酬改定を通じた経済誘導によって、医療機関が院内処方から院外処方へと移行するように仕向けてきた。それが今になって、地域医療の将来を左右しかねない重要な点数の算定要件に「原則として院内処方を行う」という規定を設けたことには、強い違和感を抱かざるを得ない。

批判受けても堅持された医薬分業推進政策

 筆者は1998年、薬局薬剤師向け雑誌の『日経ドラッグインフォメーション』の創刊に携わり、2005年からの4年間は編集長を務めた。そうした経緯もあり、他の雑誌の編集を担当していた期間も、継続的にわが国の医薬分業の歩みをウオッチしてきた。

 その間、急速に進展した医薬分業は、たびたび強い逆風にさらされてきた。いわゆる“分業バッシング”である。

 「診察を受けた後に薬局に行くのは二度手間だ」「費用が高くつく」「薬剤師は知識・能力不足」──。1990年代後半には医師からのそんな批判が目立つようになり、1999年に日本医師会は、2000年度の診療報酬改定の財源として「調剤薬局報酬の縮減」を提案。2000年には日医総研が、「日本の医薬分業は本当に患者のためになっているのか」と題する論文を発表するなどした。最近では、改定財源の確保を巡る議論の中で、調剤薬局チェーンのトップが数億円の報酬を得ている点を疑問視する声が繰り返し上がったことは記憶に新しい。
 

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