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記者の眼

女性医師の「マミートラック」、どうなってる?

 取材をしていると、子育て・仕事の両立に関する話題で女性医師と盛り上がることがある。筆者も子供2人を育てるワーキングマザー。お互いに共通する苦労が多く、職は違えどうなずくことしばしばだ。

 最近も、二人の女性医師からこんな話を聞いた。

 Aさんは、循環器科医としてキャリアを積んでいたが、出産して職場復帰した後、経皮的冠動脈形成術(PCI)を担当できなくなったという。「24時間オンコールで働けない私には担当させてもらえなかった」と憤っていた。

 別の日に出会った女性医師Bさんも循環器科医。子供がまだ1歳足らずで、「いま就職活動をしているけれど、第一線では働けないな……」とのこと。

 産後、職場復帰は果たしたけれど、キャリアアップとは無縁の仕事内容で働く母親専用のキャリアコースを「マミートラック」という。社会全体に目を向けると、35~44歳の働く女性の割合は今や71.3%と過去最高であり、子供を持ちながら働く女性はかなり増えてきた。

 そんな時代になって、産休・育休から復帰することから復帰後の仕事内容に関心が移り、マミートラックという言葉を新聞などで見掛けるようになっている。

 医師業においては「キャリアアップって何?」という部分からして様々な意見があるだろうが、お二方の場合、「(24時間オンコールでは働けないものの)それなりに長い時間を割いてしっかり仕事をしたい」という気持ちは滲み出ていて、仕事の特性、職場の文化、周囲の人の考え方、個人的な環境などから、満足のいく働き方をするのは難しいと考えているようだった。
 
 民間企業でも模索中の「働く母親活用策」、医師業界ではどうなっているのだろうか。十分戦力になる女性医師を戦力外にしてしまっている事例は少なくないのだろうか。

 「イクメン医師」の実情を伝える特集記事(Cadetto2013年秋号「イクメン医師、増加中!」)で行った医師対象のアンケート調査(有効回答数1276人)では、「育児と両立できるほど医師の仕事は甘くない」「育児は女性の仕事」といった自由意見が散見された。24時間365日働いてこそ、という職場の雰囲気が透けて見えるようだ。

 とはいえ、「イクメン医師、増えている?」という質問には、「増えている」「どちらかといえば増えている」合わせて45.6%と、半数近くの人がイクメン医師の増加を実感していた。(パートナーが医師で子供を持つ)女性医師に「ご主人(パートナー)はイクメン医師?」と聞くと、「はい」が46.4%に上った。医師業界でもイクメンは存在感を増していそう。

 徐々に若い医師の意識は変わってきたものの、主治医制が根強く残り、医師は一般的に長時間労働だ。AさんやBさんのように感じる女性医師は少なくない、というのが実態ではないかと思う。

 あるセミナーで厚労省事務次官の村木厚子氏は女性医師の活用に触れ、「(費用を投入して)育てた女性医師の4分の1が厳しいところから離れている。何とか活用してほしい」と言っていた。医師として一生涯働く女性が増えた今、女性医師のキャリアパスについていつかきちんと取材してみたいと思っている。

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