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 「この患者さん、『自分で薬は管理できている』といって、最初は薬箱を見せてくれなかったのだけど、何度もお宅に伺ううちに『あんたになら見せもいい』って言って薬箱を出してきてくれたのよ。そしたら、お菓子の空き缶に、ゴムで止めた薬の束や、OTC薬の箱が大量に入っていて。その場では整理しきれなくって、いったんお預かりして整理したのだけど」――。取材先の薬剤師の言葉に、内心ドキっとした。うちの薬箱も、とても人さまに見せられる代物ではなかったからだ。

 そこで週末、棚にしまい込んでいた薬箱(と、入りきらずに置いてある薬)を全部出して、床に並べてみた。処方薬のほか一般用医薬品(OTC薬)、サプリメント、冷却ジェルシートやマスクなどなど、考えていた以上に大量に出てきた。

やってみて実感、薬の整理は大変!
 慢性疾患を抱えて日常的に薬を飲んでいる家族はいないが、それでも子どもたちの残薬が多い(特に発熱時の頓服薬)。一見して処方薬かOTC薬か分からない、バラバラの状態のPTPシートの錠剤の数々。各種の軟膏や点眼薬は、処方薬とOTC薬がごちゃごちゃだ。OTC薬は家にあっても外出先で購入することも多いので、同効薬が数種類あり、さらには胃腸薬の箱の中に、かぜ薬の漢方薬が混ざっていた(これは夫の仕業だ)。使い残しの冷却ジェルシートは干からびていた。

 まずは、かさばる薬袋に入った処方薬を整理する。頓服薬は、子どもの体重も変わっていることだし、今年のもの以外はすべて廃棄することにした。バラバラの状態のPTPシートの錠剤は、使用期限すら分からないし、もう飲まないだろうから廃棄。

 軟膏や点眼薬は、まずは使用期限を見て整理する。軟膏によっては、チューブの刻印が非常に読みにくい(3か8か判別しにくかったりする)。搾り出すためにチューブのお尻をクルクルと巻いてあるものは、広げて確認する。使用期限は未開封で適切な保管条件下を前提としたもの。使用期限内ではあるものの、開封した軟膏や点眼薬はどうしたものだろうと悩む。そういえば、頭皮湿疹のOTC外用薬について取材した際、メーカーの開発担当者が「使用期限内なら、今年の夏に開封したものは、来年の夏いっぱいまで使える」と話していたことを思い出す。

 こうして整理していったら、半分以上を廃棄することになった。ここで、『日経ドラッグインフォメーション』2013年10月号で取り上げた、「家庭での薬の廃棄方法」の内容が頭に浮かぶ。薬は可燃ごみとして廃棄すべきで、下水に流すのはNGだ。軟膏、点眼薬やシロップ剤は、新聞紙を敷いた上でティッシュペーパーに吸わせ、容器をプラスチック、金属に分別。軟膏をきれいに搾り出すのに結構手間がかかる。PTPシートから薬を取り出し分別する。

 かくして、それなりの手間と時間を掛けて、わが家の薬箱はすっきり整理されたわけだが、ふと、よその家の薬箱はどうなっているのか気になった。そこで、社内やご近所の気心の知れた人に、薬箱の状態を聞いてみたが、言葉を濁す人が多い。わが家の恥ずかしい状況を話すと、「うちも似たような感じだよ」という答えが返ってくる。薬箱は、どんな薬を飲んでいるかだけでなく、その管理状況も含めた、他人にあまり知られたくない“秘密の箱”なのだと改めて感じた。

OTC薬ネット販売の検討で欠けている視点
 さて、昨今、OTC薬のインターネット販売をめぐって議論が戦わされているが、私はずっと違和感を抱いている。論点が「販売」のみに置かれていると感じるからだ。もちろん購入直後に使い切るものもあるが、多くのOTC薬は使い切らず、あるいはすぐに使えるように薬箱に常備しておいて、後々必要なときに服用するものだ。服用する本人でなく、家族が購入するケースも多い。

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