「チーム医療に早く取り組まなければ、他の病院から取り残されてしまう……」。ある病院の経営者からそんな焦りの声を聞いたことがあります。
最近、至る所でチーム医療という言葉を耳にします。その背景には、医療職に求められる専門知識やスキルが飛躍的に増え、医師など一部の職種だけで治療に当たるのが難しくなっていることがあります。また、患者の高齢化が進み、退院調整の際に在宅などでの生活の視点が必要になり、医師以外の専門職の役割が拡大してきたことも、チーム医療が注目を集めている理由です。
チーム医療の取り組みは、もはや医療機関にとって不可欠になりつつあるようです。実際、国もチーム医療を推進する施策を次々と打ち出しています。
2010年に厚生労働省が設置したチーム医療推進会議では、コメディカルが実施可能な医行為の拡大に向けて議論。まず、看護師が「診療の補助」の範囲で行える医行為のうち、技術や判断の難易度が高いものを「特定行為」に選定し、厚労省の指定研修を修了した看護師が医師の「包括的指示」の下、実施できるよう検討を進めてきました。下部組織のワーキンググループが特定行為の内容、指定研修の実施方法、到達目標などの詳細を詰め、取りまとめた結果は10月29日のチーム医療推進会議で了承されました。厚労省はこれを受けて、2014年の通常国会に保健師助産師看護師法改正案を提出する方針です。
2014年度診療報酬改定では評価項目の拡大も
こうした流れに沿って、厚労省はここ数回の診療報酬改定でもチーム医療の取り組みを手厚く評価してきました。2012年度改定では、病棟薬剤師の役割を評価した「病棟薬剤業務実施加算」が新設されたほか、院内に設置した感染制御チームが感染防止などを行う体制を評価した「感染防止対策加算1、2」などが登場。算定する医療機関の数は、まだ少ないものの着実に増えています(表1、2)。
新規に会員登録する
会員登録すると、記事全文がお読みいただけるようになるほか、ポイントプログラムにもご参加いただけます。
この連載のバックナンバー
-
2021/02/22
-
2021/02/18
-
2021/02/15
-
2021/02/10
-
2021/02/10