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 最近、職場で男性看護師の姿を目にする機会が増えたと感じないだろうか。

 今年7月に厚生労働省が発表した「平成24年度衛生行政報告例」によれば、就業している男性看護師は6万3321人。全看護師数(101万5744人)に占める割合は6%程度とはいえ、その数は10年前の2.5倍に急増している。看護師養成所の新入生だけでみると男子学生の割合は既に10%を超えており、この傾向は当面続きそうだ。

 そうした中、医療現場では、男性看護師のキャリアパスをどう考えるかという、新たな課題に直面している。

 ひと昔前、男性看護師がごく少数だった時代には、「男性だから」との理由で体力的にハードな手術室やICU、精神科などに配属されるのが常だった。今でもそうした風潮はあるものの、本来であれば女性の看護師と同じように、「小児看護を学びたい」「認知症ケアを極めたい」など、本人の意向に沿ったキャリアプランがあっていいはずだ。先月、都内で開かれた「日本看護管理学会学術集会」でも、「男性看護師の職場環境」をテーマにしたセッションが開かれ、男性看護師からそうしたキャリアパスに関する問題提起がなされた。

 男性看護師は全国に6万人いるとはいえ、病院単位でみるとまだまだ少ない。同セッションで紹介された職場環境に関するアンケートでは、更衣室やトイレなどハード面の不便さのほか、「男性看護師であることを理由に、患者から清潔ケアを遠慮された」といったベッドサイドでのエピソードなども紹介された。「職場の実態を明らかにすることで、男性看護師の“愚痴”レベルの話だけでなく、病院管理の観点から検討できることも出てくるかもしれない」。調査を行った看護師の坪田康佑氏(医療振興会)はこう投げかける。

 そもそも、離職率やキャリアパスを含め、男性看護師の就業実態はよく分かっていない。坪田氏らは来年、男性看護師の全国組織の設立を予定しており、同会を通じて現状分析や課題の検討、男性看護師のネットワークを強化していきたい考えだ。

 最近では、男性看護師が看護師長、さらには看護部長を務める病院も散見されるようになった。在宅医療に対するニーズが高まる中、訪問看護ステーションを立ち上げ、経営手腕を発揮する男性看護師も増えている。記者が看護師の「特定行為」制度の取材で訪れたナースプラクティショナー養成大学院でも、多くの男性看護師が学んでいた(参考記事:2013.8.10「見えてきた「特定行為」研修の全貌」)。

 18歳人口の減少を踏まえると、男性の就業が今後の看護師確保の切り札になることは間違いない。男性が看護師として働く魅力をアップさせるためにも、キャリアパスの確立と、現場の“ナースマン”のさらなる活躍に期待したい。

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