日経メディカルのロゴ画像

間もなく発売される「日経DI創刊15周年記念Tシャツ」の「薬剤師バージョン」。日経DIオンラインで6月中旬より注文を受け付ける予定。価格は税込み3150円。

 『日経メディカル』の姉妹誌、薬剤師向けの日経ドラッグインフォメーション(通称、日経DI)』が創刊15周年を迎えた。それを記念して、写真のようなTシャツを作ってみた(間もなく発売予定)。私は今は同誌の発行人だが、1998年の創刊から2年間、編集長を務めた。『日経DI』は私にとって、わが子のような存在でもある。さて、このかわいいTシャツの制作に当たっては、創刊15年を喜びたい気持ちに加え、薬局、薬剤師の現状に対する不満(と不安)も込めたつもりだ。その辺りを少し綴ってみたい。

最高裁判断の受け止め方に温度差
 あいも変わらず薬剤師、薬局への風当たりが強い。

 2013年1月、最高裁判所は、一般用医薬品(OTC薬)のインターネット販売を一律に禁じる厚生労働省の規制は、違法であるとの判断を下した。これを受け、原告であった販売業者は第1類(スイッチOTCなど)、第2類(従来の風邪薬など)のOTC薬ネット販売を再開。その後、インターネットで第1類医薬品を販売する薬局・薬店は増え続けている。今回の訴訟は、厚労省が09年、改正薬事法の施行に伴って発令した省令で、第1類、第2類医薬品の対面によらない販売を禁じたことに対し、同年5月、販売業者2社が東京地裁に提訴したことが発端だ。

 対面か対面でない(ネット販売)か、という対立構造は「対面だから安全」という前提条件があって成り立つものだろう。しかし、そもそも薬局や薬店において、第1類医薬品の対面販売時に薬剤師が十分な説明を行っているのか、という疑念も生じる。事実、11年に厚労省が実施した覆面調査では、文書を使って詳細な説明を行っていたところは55%に留まっていた。

 今回の最高裁の判断を、世の中は概ね冷静に(つまり「ネット販売でもいいよね」と)受け止めているように感じる。一方、日本薬剤師会は意見広告で「私たち薬剤師は、お客さまの症状や体の状態、生活習慣など、直接お会いして、丁寧にお話しを伺うことで、お客さま一人ひとりに合ったお薬を選ぶお手伝いをしています。(中略)。私たち薬剤師は、一般用医薬品のインターネット販売全面解禁に反対します」と反対の立場を改めて強くアピールしている。

 国民、利用者が実際に薬を買う時に感じる、利便性・安全性と、薬局側が自分たちの都合で考える利便性・安全性との間には大きな隔たりがあるようだ。厚労省は2月に「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」を設置、議論をスタートさせたが、着地点はまだ見えない。

医薬分業にも逆風
 医薬分業、つまり調剤を行う薬局に対する視線も厳しさを増している。90年代半ばから国策として強力に推し進められてきた医薬分業。分業率は今では70%に迫る勢いだ(15年前の日経DI創刊時は約30%)。さらに後発品使用促進を理由に、処方せん様式が変更され、医師が明確な意思表示さえしなければ、薬局薬剤師が患者の同意の下、医薬品の銘柄を選択できるようになった。薬局薬剤師の役割は、この15年で大きく変わり、“薬を選ぶ”ところまで来たのだ。

 医療費削減の御旗の下、強力な経済誘導がなされた結果が70%という分業率だ。しかし、今でも「処方ミスの発見」「十分な服薬指導」といった90年代から喧伝されていたメリットに対する懐疑論が消えることはない。むしろ、患者の利便性悪化や、自己負担増などのデメリットの方がクローズアップされ、院外処方を院内処方に戻す医療機関すら出てくる始末だ。

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