「敗因分析をするな、勝因分析をせよ」。
3年ほど前、IT業界で記者をしていた頃に、ある売れっ子の経営コンサルタントT氏から聞いた言葉である。
T氏のアプローチは、顧客企業の営業会議を明るく前向きな場に改造し、そこから業績アップにつなげていくというもの。ときにはムードメーカー兼トレーナーとして営業会議に潜入することもしばしばで、もしもギネスブックに「最も多くの企業の営業会議に顔を出した人物」という部門があれば認定されるかも知れない。
その彼が語気を強めて言った。「IT業界など、分析力がある人たちがたくさんいる業界は、とかく反省や敗因分析に拘泥しがち。往々にして、すばらしい分析をして見せるだけに終わり、次のアクションにつながらない。何より悪いのは、暗い話ばかりで部員の志気が下がっていくことだ」。当時、ちょっと耳が痛いような気がしたことを覚えている。
なぜここで、よその業界の話をしたくなったかと言えば、この考え方が、医療の現場でもヒントになりそうだと思ったからだ。T氏の顧客は当時、IT企業や、家電メーカーなどが多かった。業務マニュアルがあって、どの営業職も同じ仕事をしているように見えるが、実際には、成績(売り上げや顧客の満足度)が人によって大きく違う、そんな職場だ。医療現場も、似たところが多いような(分析力がある人が多い、という点も含め)。
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