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医薬品卸が患者宅に薬を配送する時代が来る?
遠隔服薬指導の体制整備に一歩

2018/10/16
坂井 恵

 遠隔服薬指導が、国家戦略特区で実証的に進められているが、今後、全国的に広がっていくとしたら薬の配送はどうなるのか。温度管理が必要な薬などは郵便や宅配便では難しいのではないか――。そんな課題に対する1つの答えになり得る取り組みが、福岡市で始まった。

 国家戦略特区に指定されている福岡市で遠隔服薬指導を実施する、きらり薬局名島店(福岡市東区)の運営会社のHyuga Pharmacy(福岡県春日市)が、メディパルホールディングス(東京都中央区)の子会社であるアトル(福岡市東区)と運送委託契約を締結。医薬品卸による遠隔服薬指導を受けた患者への医薬品配送事業が始まった。医薬品卸による患者宅への医薬品の配送は、業界初とみられる。

 現在、薬剤交付時の服薬指導は対面で行うことが義務付けられているが、国家戦略特別区法を活用した遠隔服薬指導事業においては、一定の条件下でオンラインによる服薬指導が認められている。きらり薬局名島店は、遠隔服薬指導事業の登録事業所として認可を受け、2018年7月から、ビデオチャットシステムを使った遠隔服薬指導を実施してきた(関連記事)。ただし、薬は薬剤師や薬局スタッフが届けていた。郵便や宅配便では配送中の品質管理などに不安があったためだ。また、お薬カレンダーを活用している患者には、カレンダーに薬をセットした状態で送付するための工夫が必要だと感じていたという。

 「薬の配送は流通のプロに任せたい」と考えていた同薬局では、宅配業者や医薬品卸に医薬品の配送を委託することを模索。検討の結果、医薬品の取り扱いに慣れており運送時の温度管理などに不安がないこと、患者の要望に合わせた時間帯に配送が可能なことなどから、医薬品卸のアトルとの運送委託契約を締結に至った。既に10月4日に、患者宅にアトルによる初の配送が行われた。

 実際の遠隔服薬指導における薬の配送の流れは次の通りだ。まず、遠隔服薬指導を実施した薬剤師が、患者や家族に都合の良い配達時間帯を確認。薬局では、調剤した薬を薬剤情報提供書などとともに、専用のボックスに入れておく。それをアトルの配送スタッフがピックアップし、患者宅まで運ぶ(写真1)。

写真1 アトルの配送スタッフが薬局でピックアップした薬の専用ボックスを患者宅まで届ける

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