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 厚生労働省は2018年8月1日、第5回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を開催した。ナプロキセン(医療用医薬品名ナイキサン)、プロピベリン塩酸塩(バップフォー他)はスイッチOTC化を「可」としたが、前回から継続審議となったプロトンポンプ阻害薬PPI)のOTC化は、今回も議論が平行線をたどり、最終的に「否」となった。

 厚労省は現在、OTC薬の候補となる成分の要望を募集し、同会議でスイッチOTC化の妥当性を評価している。評価後はパブリックコメントを募集し、再度検討して、結果を薬事・食品衛生審議会に報告。OTC化が「可」であれば製薬企業などに開発支援などを行うというスキームだ。

 今回議論されたのは、(1)既にパブコメ募集が終わったカルシポトリオール(ドボネックス他)とレボカバスチン塩酸塩(リボスチン他)、(2)初審議となるナプロキセンとプロピベリン、(3)継続審議となったPPI3成分――の計7項目。

 オメプラゾール(オメプラールオメプラゾン他)、ランソプラゾール(タケプロン他)、ラベプラゾールナトリウム(パリエット他)のPPI3成分については前回、日本消化器病学会はOTC化を「可」としたが、日本臨床内科医会が「否」と猛反発したため、継続審議となっていた(関連記事:PPIのOTC化、内科医会の猛反発で結論出ず)。

 PPIについては前回、安全性についてエビデンス不足との指摘があったため、資料が提出された。

 逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症に、PPI3成分を使用した際の副作用報告についてまとめた結果、14日以内の服用で発現した副作用は、いずれも重篤でないものだった。

 また、日本臨床内科医会がPPIの使用により(1)胃癌の発生率の増加、(2)急性腎障害や慢性腎臓病の増加、(3)骨の脆弱化――などが生じるとしていた点について、根拠となる文献が示された。ただし、いずれも長期投与例の結果で、観察研究やコホート研究に基づく内容だった。

 日本消化器病学会は、PPI3成分について「14日以内の短期使用であれば特段注意すべき点はなく、OTCとすることに問題はない」としている。同学会の意見者で、国立国際医療研究センター国府台病院病院長の上村直実氏は、前回の議論を踏まえた上で「1週間の短期使用であれば有用性が大きい」と主張。医会が主張するリスクも「学問的には問題にならない」と話した。

 一方、医会の意見者で、章平クリニック院長の湯浅章平氏は、提出した文献が長期投与例でありエビデンスレベルが高くないことは認めつつも、「安易にOTC化していいのか疑問がある」と反対の姿勢を崩さなかった。

 日本医師会常任理事の長島公之氏は、類似薬としてH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)が既にOTC化されていることを指摘。「PPIでなければいけないという理由はあるのか」と疑問を投げ掛けた。

 上村氏は「それはそうかもしれないが、まずH2ブロッカーとPPIは胃酸分泌抑制機構が全く異なる。GERD(胃食道逆流症)のガイドラインでもPPIが第一選択」と違いを説明。「多忙な会社員で胸やけ症状があり、OTCを飲んで改善されるのなら助かるだろう」と話し、「自分がGERDになったら、OTCでPPIを服用し、1週間で症状が改善しなかったら医療機関を受診する」と利便性を強調した。

 また、日本薬剤師会副会長の乾英夫氏は、PPIが諸外国で既にOTC化されている点を指摘し「あえて日本で反対する必要はあるのか」と指摘。日本女性薬剤師会副会長の小縣悦子氏は「H2ブロッカーは1日2回服用だが、PPIは1日1回。コンプライアンスの上でも有用だと思う」と話した。

 NTT東日本関東病院皮膚科部長の五十嵐敦之氏も、消化器内科専門医ではないと前置きしつつ「選択肢はたくさんあった方がいいのでは」と発言。H2ブロッカーとPPIのどちらを選ぶかは患者と薬剤師の判断に任せるとして、OTC化に賛成の立場を取った。

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