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第5回医薬品医療機器制度部会より
高度薬学管理の担い手巡り、議論が紛糾

第5回医薬品医療機器制度部会には、前回以上の傍聴者が集った。傍聴者の中には大手チェーン関係者の姿も。

 2018年7月25日、厚生労働審議会医薬品医療機器制度部会が開催され、医薬品医療機器等法(薬機法)改正に向けて、「薬局・薬剤師のあり方」をテーマに、議論が繰り広げられた。

 このテーマには、課題と論点として(1)薬剤師による情報提供および薬学的知見に基づく指導の強化、(2)薬剤師の対人業務を推進するための方策、(3)地域における医薬品提供体制を確保するための薬局の体制整備、(4)薬局の組織ガバナンスの確保──の4つが挙げられている。前回、7月5日に行われた部会では(1)、(2)を取り上げた(関連記事「薬局の機能を再定義し、法律に明記を」「医薬分業を議論するならチェーンの経営を開示すべき」)。そのため今回は(3)、(4)について議論が行われた。

 (3)については、病院薬剤師との連携の重要性や、高度薬学管理の在り方が話題の中心になった。

 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「患者の服薬情報を継続的に把握するシステムづくりが重要」と強調した。

 山口氏は、今回、厚生労働省が追加資料として提出した「薬局における主な業務」に言及。この資料は、「処方箋の応需・薬剤の交付」「高度薬学管理(抗癌剤、抗HIV薬等)」「夜間・休日対応」「在宅対応」「要指導医薬品、一般用医薬品の販売」「健康サポート機能」に加え、その他として学校薬剤師やスポーツファーマシスト、災害時の対応といった業務を羅列したものだった。山口氏は、「これは主な業務というよりも、薬局が行うことができる業務。地域包括ケアシステムを高めるような項目を入れた上で、最低限これはやらなければいけない範囲を少し拡大する必要があるのではないか」と提案した。

 特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事の花井十伍氏は「薬局の機能を羅列しても始まらない。(問題なのは)全ての薬局が、医薬分業で最低限期待されている仕事をしていないのではないかという疑惑があること。医薬分業において、薬局の最低限の機能とは何なのか、コンセンサスがないような気がする。(法の中で)最低限のことをやっていないのはダメでしょう、という趣旨が記述されるべき」と指摘した。

 また高度薬学管理について、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「むしろ院内薬剤師が主に担うべきだと思う。医薬分業自体を見直すことの議論とは別に、院内としてしっかりやるべき。それが本筋だと思うがどうか」と厚労省の意見を求めた。

 これに対し、厚労省は「ケースバイケース。他の医療機関からの処方を受けていたり、医療機関が遠かったりする患者に対して、薬局の機能の発揮の仕方を考えていくことが重要」との考えを示し、「どちらがいいと答えるのは難しい」と回答した。

 日本薬剤師会副会長の乾英夫氏は、「現状は病院薬剤師が高度な薬学管理を担っているが、地域に戻る患者や、地域を超えて院外処方箋が発行されている患者も多い。病院と薬局の連携が重要」とし、さらに「かかりつけ薬局が一元的に、継続的に管理している」と現場の実態を語った。

 一方、津田塾大学総合政策学部教授の伊藤由希子氏は「患者にしてみれば、院外か院内か(という議論)よりも、(重要なのは)誰が一元的に、継続的管理をしてくれるのかということだ」と述べた。

 こうした意見を受け、中川氏は「高度な薬学管理をする薬局があるとすれば、それをやっていた病院と密接な連携を取る薬局に限定すべき」と強調した。

 さらに、中川氏は前回までの議論を振り返り、「医薬分業が進む中で、『病院薬剤師が輝いていない』という話が出ていた。何でもかんでも全国の薬局がやるんだということではないので、注意して議論を進めてほしい」と強調した。中川氏からこの“輝いていない”という発言が出たのは、前回、「医薬分業が進んで薬局が利益を得るようになったきたのに対して、病院内の薬剤師の存在感があまりないように思う」という趣旨の発言が、別の委員の中から出たためだ。

 この中川氏の発言に異論が続出。和歌山県立医科大学客員教授の赤池昭紀氏は、「病院の薬剤師は輝いて活躍している」と述べ、薬局と病院の薬剤師の連携が不可欠であると主張した。

 委員の中からは「スティーブンス・ジョンソン症候群など、病院薬剤師として重症の患者を診ていないような薬剤師が、薬局で高度薬学管理機能を看板に掲げるのはいかがなものか」との意見も上がった。

 伊藤氏は、「病院だからよくて薬局だからダメというのではなく、職能を生かしている人をきちんと診療報酬で評価したり、高度な知識がある薬局を三ツ星にするなどランク化して分かりやすく示したりすること自体は悪いことではない」などと語った。

 乾氏は、無菌製剤処理や高度薬学管理など、個々の薬局が全ての機能を持つことは難しいが、薬局間で分担したり、連携したりすることはできる点を強調した。

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