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シリーズ◎薬局薬剤師が病院で実務研修
国立がん研東病院◆第一線の癌診療を病院薬剤師とともに学ぶ

 千葉県柏市にある国立がん研究センター東病院では、癌に特化した研修プログラムを組み、薬局薬剤師の研修生を公募した。

 同病院薬剤部長の山口正和氏は、研修生受け入れの狙いについて、「地域包括ケアシステムにおいて薬物治療管理の要になるのは薬局薬剤師であり、かかりつけ薬局が持つべき機能の1つとして、高度薬学管理機能も掲げられている。そのような中で、薬局薬剤師に研修の場を提供し、癌に関する専門知識を共有することは、癌専門病院として担うべき役割であると考えた」と話す。

 同病院の研修は、癌薬物療法に必要な知識、技能、臨床経験を習得させることを目的としている。第1回の研修は、2017年1月5日~3月17日に実施。公募に応じた日本調剤柏の葉公園薬局(千葉県柏市)の下村直樹氏が研修を受けた。

 同病院は、日本病院薬剤師会のがん薬物療法認定薬剤師の認定研修施設でもあり、年2回、認定取得を目指す2~3人の病院薬剤師を受け入れ、プログラムに沿った研修を行っていた。今回の薬局薬剤師の研修は、このがん薬物療法認定薬剤師の研修と合同で実施。研修費用も、病院薬剤師の研修と同じ16万2000円(税込み)とした。


病院薬剤師の認定薬剤師研修と合同で

 がん薬物療法認定薬剤師の研修と合同で行うことで、医師による講義を充実させられるメリットがある。「第一線の癌専門医の講義を聞けるのは当院の研修の特色」と山口氏。講義研修は全22回で、薬剤部による薬剤師外来や病棟業務の講義に加え、同院の消化管内科や肝胆膵内科、呼吸器内科、頭頸部内科、血液腫瘍科、精神腫瘍科などの医師が、各癌種の診断と治療などについて講義を行う。講義は平日の18時から行っており、研修生ではない薬局薬剤師も無料で参加できるという。

 加えて、「病院薬剤師と薬局薬剤師が一緒に研修を受けることで、情報交換してもらう狙いもある」と山口氏は話す。薬局薬剤師は、注射や点滴静注など、病院内でどのような治療が行われているかを把握するのは難しいのが現実。一方で病院薬剤師は、患者の退院後の療養生活を知る機会があまりない。情報交換により互いの状況や抱えている課題を知ることで、より良い薬薬連携の在り方を考えるきっかけになるという。「研修を終えて各々の勤務先に戻った後も、研修中に築いたネットワークを生かしてほしい」と山口氏。

 このため、薬局薬剤師の研修生の募集要項では、(1)薬剤師としての実務経験を5年以上有する、(2)癌患者に対する薬剤管理指導業務および薬物治療モニタリングの経験を有する、(3)経口抗癌剤または癌化学療法の支持療法の処方箋を応需している薬局に勤務している、(4)日本医療薬学会認定のがん専門薬剤師や、日本臨床腫瘍薬学会認定の外来がん治療認定薬剤師を既に取得している、または取得の意思がある――を応募条件としている。

 ただし、病院薬剤師と薬局薬剤師で、プログラムは多少変えている。例えば、抗癌剤調製の実技研修は、病院薬剤師は6日間行われるのに対し、薬局薬剤師は1日のみ。「病院薬剤師は研修終了後、勤務先の病院で抗癌剤調製を実践したり、他の薬剤師に指導したりする必要があるが、薬局薬剤師が研修終了後、薬局で抗癌剤の調製を行うことはめったにないと考えられる」(山口氏)。薬局薬剤師はその分、薬剤師外来や、外来癌化学療法を行う「通院治療センター」での実習に多くの時間を当てている。

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