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厚労省研究班が初の全国調査で実証
薬剤師の介入で在宅の薬物療法の効果や効率が向上

 薬局薬剤師が在宅医療に積極的に関わることにより、薬物治療のアウトカムや効率が向上することが、初の全国調査で実証された。

 これは、厚生労働省研究班「地域医療における薬剤師の積極的な関与の方策に関する研究」(研究代表者:国立保健医療科学院統括研究官の今井博久氏)の調査で明らかになったもの。

 同調査は、訪問業務を実施している全国の日本薬剤師会会員薬局を対象に2013年1月15日から2月13日にかけて行われ、全国1890薬局、5447人の患者データを回収した(回収率56.9%)。

 訪問業務によるアウトカム指標として、1)有害事象の発見と解消の有無、2)服薬アドヒアランスの変化、3)残薬状況の変化、4)処方変更の有無(禁忌・重複・相互作用、漫然投与、アドヒアランス不良などに起因する問題の是正を意図したもの)――の4つを設定した。

 薬物治療の安全性に直結する項目として、訪問患者の14.4%(784人)に有害事象が見られ、原因薬剤としては抗コリン作用の強い抗ヒスタミン薬、ベンゾジアゼピン(BZ)系薬、スルピリド、ジゴキシンが上位を占めていた。特にBZ系薬に起因したふらつき、傾眠、眠気が高頻度で発生しており、高齢患者の転倒や骨折リスクを高めていることが明らかになった。

 残薬に関しては、訪問開始時と調査時点の状況を比較して、残薬が減った患者が2268人(41.6%)、変化なしが2961人(54.4%)、増えた患者が124人(2.3%)、無回答が94人(1.7%)だった。残薬整理の対処内容は、廃棄が782件(21.8%)、投薬日数調整が2623件(73.1%)、「廃棄と投薬日数調整」が21件(0.6%)、その他164件(4.5%)となった。経済効果で見ると、薬剤師による残薬整理前の残薬総額は852万9846円(患者1人当たり4885円)であったのに対し、残薬整理後の総額は160万7986円(同921円)だった。

 また、薬剤師が訪問先で把握した処方上の問題点について、医師への疑義照会などにより、処方が変更になったのは2020人(37.1%)、変更にならなかったのは2619人(48.1%)、無回答808人(14.8%)だった。特に、医師と薬剤師が検査値・検査に関する情報を共有している患者群では、共有していない患者群に比べて、漫然投与、アドヒアランス不良の問題を把握できた患者割合が高いことが示唆された。

 また、訪問看護師やケアマネジャーとの情報共有により、有害事象の発見、アドヒアランスや残薬の改善が見られることが示された。

 なお、訪問業務を実施している薬局の平均的な体制は、以下のような状況だった。

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