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電子処方箋、実証実験で運用面での課題が明らかに
最も大きな問題は、システム整備のためのコスト負担

 10年以上前から議論が行われている、処方箋の電子化。厚生労働省の検討会などでは、長年、技術的、制度的な問題から時期尚早と結論付けられてきたが、2007年ごろから様々な実証実験が行われ、検証が進んでいる。

 厚生労働省情報政策担当参事官室室長補佐の前原正男氏は4月22日、本誌の取材に応じ、電子処方箋の実現について、「実証実験により技術的な問題はある程度解決できることが分かった。一方、実際の運用に関して、新たな課題が浮き彫りになってきた」などと説明した。

 処方箋の電子化には、(1)患者が持参する処方箋の情報を、薬局でレセコンや薬歴に入力し直す手間が省ける、また、写し間違いによるミスがなくなる、(2)薬剤師が服薬指導で得た患者の服薬状況や、薬局での後発品への変更状況といった情報を、医師にフィードバックできるしくみを作ることで、医師が次回の処方の際の参考にできる――などのメリットが期待されている。

 これまで、東京大学医学部付属病院や香川県高松市、大分県別府市などで、複数の医療機関や薬局が参加して実証実験が行われた。

 電子処方箋の運用方法は、医師会などに設置した外部サーバーに医療機関が処方箋情報を保存し、薬局がサーバーにアクセスして閲覧する仕組みが一般的だ。具体的には、医療機関で診察を受けた患者が、電子処方箋をかかりつけ薬局に送ることに同意すると、医療機関の電子カルテから外部サーバーに処方箋データが転送される。指定された薬局で、薬剤師が患者が持つカードに書かれたIDとパスワードなどを入力すると、サーバーにつないだパソコンから情報が取り出せるといった仕組みが多い。

 前原氏は、「実証実験の結果から技術的にはこうした仕組みが実現可能であることが分かった」と話す。これを受けて、厚労省は、従来処方箋の電子化を認めないとしてきた「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」(2005年3月25日厚生労働省令第44号。通称、「e-文書法厚生労働省令」)を今年3月に開催した検討会で改正する方針を打ち出し、処方箋の電子化実現に向けて、法的整備を進める意向を示した。

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