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後発医薬品~私はこう選ぶ(11)
安全域の狭い「要TDM薬」は後発品を使わない
宮崎薬局本店、バス通り店(長崎市)

宮崎薬局代表取締役の宮崎長一郎氏。現在、長崎県薬剤師会長も務める。

 長崎市の平和公園、浦上天主堂にほど近い宮崎薬局は、面型の本店と、調剤専門のバス通り店という形態の違う二つの店を持つ。処方せん枚数は「両店合わせても月2000枚に届かない」と代表取締役の宮崎長一郎氏は言うものの、後発医薬品を含む処方せん枚数は5割近くを占め、2度にわたる処方せん様式の変更にこまめに対応してきた成果が現れている。

 宮崎氏は、宮崎薬局の経営者のほかに、長崎県薬剤師会の会長を務め、同県医師会・歯科医師会と共同で、後発品への変更に際しての注意点をまとめ、各会員に周知してきた。また、長崎大薬学部大学院の臨床薬学コースで大学院生の実務実習の指導に当たるなど、学術的な活動も行っている。

 例えば、今年3月に同大大学院生がまとめた報告書では、バス通り店で調剤した後発品の薬剤費(薬価ベース)と、それを先発品に置き換えたと仮定した場合の薬剤費を比較した。その結果、処方せん様式変更前の2004年11月1カ月間では、その差額は約10万円だったが、06年改定後の同年11月での差額は約18万円、2回目の改定後の08年11月の差額は25万円に拡大していたことが分かった。

 宮崎氏は、「2度の処方せん様式の変更によって、当薬局での後発品の使用量が増加し、薬剤費の削減幅は1カ月10万円から25万円へと15万円拡大した。調剤薬局が約5万店だとすると、単純計算で年間約900億円の薬剤費を削減することができる」と、後発品の医療費削減効果を示す。

 2度にわたる処方せん様式の変更によって、宮崎薬局での後発品使用量が増えたのには、宮崎氏らの地道な努力がある。06年の変更時以前に後発品使用促進策として、後発品の処方が診療報酬上で評価された折には、近隣の耳鼻咽喉科診療所から「後発品を処方した方がいいらしいが、どう対応すればいいのか」との相談を受けたため、「一般名処方にすることで、2点加算される」と説明して、一般名処方への道筋をつけた。同時に、耳鼻科で処方の多いレフトーゼ(一般名:レフトーゼ塩酸塩)とムコダイン(カルボシステイン)の後発品の在庫を常に確保できるよう体制を整えた。

 また、処方せんを受けている近隣の内科診療所に対しては、06年の変更時に協議を行い、それまで同診療所で処方していたマーズレンSの後発品に加え、変更しても差し支えない薬剤をピックアップ。4月当初に患者へ後発品に関する説明を行い、患者の同意を得た上で後発品への変更を実施した。「後発品への切り替えに患者の同意は必須だが、医療機関の医師ともある程度の意思疎通が前提」という宮崎氏の考えが、近隣の医療機関に浸透した結果が、5割を超える後発品の処方せん枚数になっているわけだ。

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