厚生労働省の薬事・食品審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(座長:独協医大特任教授・松本和則氏)は6月16日、タミフル(一般名:リン酸オセルタミビル)の服用と異常行動・突然死との関係につい検討結果をまとめた。「10歳代小児への、タミフル投与の原則差し控えを継続するのは適当」という内容だ。
同調査会は、2007年の添付文書改訂直後、タミフル服用と異常行動との因果関係についての検討を開始した大本の組織。今回、同調査会が現時点での結論をまとめたことで、この問題は一応の区切りを迎えた。「原則差し控えの解禁」は当面なくなったといえる。
1万人の試験でも因果関係わからず
厚労省が10代へのタミフル投与を原則として差し控えるよう、中外製薬に添付文書改訂を指示したのは2007年3月20日のこと。タミフルを服用したとみられる10代患者が高所から転落して骨折したり、死亡する事例が複数あったことから「因果関係は不明」としながらも、予防的措置として指示に踏み切った。
その後、同年4月4日に薬事・食品審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会が開催され、中外製薬が提出した副作用報告に基づいて、タミフルの副作用が改めて検討された。しかし異常行動との因果関係について、結論は得られなかった。
そこで同調査会は、臨床的調査検討と基礎的調査検討の2つの作業部会を立ち上げ、より詳細な検討を指示。2年余の検討期間を経て、作業部会から調査会への最後報告が6月3日に完了した。この報告を受けて、このたび調査会が現時点での結論を発表した。
調査会の結論は、「投与の原則差し控え継続は適当」というものだ。その理由について、報告書には、「これまでに得られた調査結果において、10代の予防的な安全対策を変更する積極的な根拠が得られているという認識ではない」と書かれている。
背景には、タミフル服用と異常行動との関係を明らかにする上で最も重要なエビデンスになると見られていた、約1万人の小児患者(18歳未満)を対象に実施された「インフルエンザに伴う随伴症状の発現に関する調査研究」を解析した結果、因果関係の有無が結局わからなかったという事情がある。
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