70歳代男性
<処方1>病院の内科、入院前
ダムゼール錠 1.25 mg 4 錠
1 日 2 回 朝夕食後 28 日分
タケプロンカプセル 15 1 Cap
メバロチン錠 5 mg 1 錠
1 日 1 回 朝食後 28 日分
ビーマス S 錠 3 錠
アンプラーグ錠 100 mg 3 錠
1 日 3 回 毎食後 28 日分
以上、一包化
<処方2>病院の内科、退院時
ダムゼール錠 2.5 mg 2 錠
1 日 2 回 朝夕食後 28 日分
タケプロンカプセル 15 1 Cap
プラバスタチン Na 錠 5 mg「チョーセイ」 1 錠
1 日 1 回 朝食後 28 日分
ビーマス S 錠 3 錠
アンプラーグ錠 100 mg 3 錠
1 日 3 回 毎食後 28 日分
以上、一包化
・入院前から服用していた糖尿病用剤のダムゼール錠1.25 mg(一般名:グリベンクラミド)が退院時に中止されたと勘違いした患者が、血糖値の上昇が気になり残薬のダムゼール錠1.25 mgを自己判断で追加服用した。実際には、一包化された退院時処方の中にダムゼール錠 2.5 mgが入っていたため、結果として倍量のダムゼール錠を服用していた。
・患者は<処方1>が出された数日後、処方先の病院に入院した。入院中は、看護師が与薬した一包化薬をそのまま服用していた。 入院中、低血糖を起こし、ダムゼールが一時中止された。
・退院後、当該患者の妻が<処方2>の処方せんを持って来局した。その際に、妻は「入院中から糖尿病の薬をもらっていない。『糖尿病なのに、退院時にも血糖値を下げる薬をもらえないなんて、また血糖値が上がるのではないか』と本人がとても心配している。糖尿病の薬をもらえないだろうか。今は、入院前にもらっていた処方薬<処方1>の残薬の中から、ダムゼール錠1.25 mg を 2 個ずつ抜いて(患者はどれがダムゼール錠か判別できていた)、退院時にもらった薬に足して朝晩飲んでいる」と怒った様子で話した。
・<処方2>の処方せんを受け取った薬剤師は、そこにダムゼール錠が記載されていたため、退院後の処方にも糖尿病の薬が含まれているので安心するようにと伝えたが、「退院時に糖尿病薬が入っていなかった」という家族の話に疑問を抱いた。
・薬剤師が薬歴を確認したところ、入院前はダムゼール 錠1.25 mg が 4 錠 1 日 2 回で処方されていたが、退院時の処方ではダムゼールの規格が変更され、ダムゼール錠2.5 mg、 2 錠 1 日 2 回で出されていた。患者は、退院時に処方されたダムゼールの2.5 mg錠の形状が入院前に飲んでいた1.25 mg 錠と異なっていたため、ダムゼールと認識できず、中止されたものと思い込んでしまったと思われた。