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服薬指導のリスクマネジメント
グレープフルーツジュースでバイアグラの作用増強を試みた患者

2008/12/24
澤田 康文=東京大学大学院教授 情報学環/薬学系研究科 医薬品情報学講座

1 処方の具体的内容は?

44歳男性。勃起不全。

<処方1>


バイアグラ錠25mg 1回1錠
     性行為の約1時間前に服用 7回分




2 何が起こりましたか?

・街の本屋で立ち読みしていてグレープフルーツジュース(GJ)が薬の作用を強めることを知り、バイアグラ(一般名:シルデナフィルクエン酸塩)とGJを一緒に飲んでいた。


3 どのような過程で起こりましたか?

・患者は、バイアグラが1回の受診に付き7回分しか処方されないことに不満を抱いていた。度々病院に通うのが面倒だったし、薬局でいちいち薬の説明を受けるのが嫌だったからだ。ある時、街の本屋で薬に関する本を立ち読みしていてGJが薬の作用を強めることを知った。患者はGJにより本剤の作用を増強できれば、1回当たりの飲む量を減らせて服用回数を多くすることができるのではないかと考えた。ある時、患者から錠剤の割り方を尋ねられた薬剤師が、不審に思って詳しく話を聞いたところ、上記の事実が判明した。


4 どのような最悪の事態が予想されますか?

・バイアグラの血中濃度の急激な変化により心疾患を発症。


5 なぜ起こったのでしょうか?

・バイアグラとGJとの相互作用に関する検討結果は一定していない。GJの飲用によりシルデナフィルのAUCには有意な変化はないものの、Cmaxは42%増加するという報告(Ther.Drug Monit.2001;23:21-26.)がある一方、GJでAUCが23%増加するが、Cmaxには変化は見られないとの報告(Clin.Pharmacol.Ther.2000;71:21-29.)もある。シルデナフィルを半錠にしてGJと一緒に飲用しても1錠服用したときの濃度に及ばない可能性がある一方で、シルデナフィルは主に代謝酵素チトクロームP450(CYP)3A4によって代謝されるために患者によっては、思いもよらない血液中濃度の上昇が引き起こされる可能性がある。


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