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特集◎あなたの知らないドラッグストアの世界《5》
ドラッグストアはなぜ成長できたのか

 日本にドラッグストアが増えてきたのは、1970年代といわれる。

 「ビジネスマインドの高い薬局経営者が、医薬品だけでなく、日用品や雑貨も店に置いて、顧客を増やそうと動き始めたのが、日本のドラッグストアの始まり」と、ドラッグストア業界でコンサルタントを務めるドムス・インターナショナル(東京都渋谷区)代表の松村清氏は説明する。その後、商品を大量に仕入れて安売りするという販売手法が広まった。

 ドラッグストアに顧客を奪われた薬局の中には、売り上げを維持するため、顧客に必要以上に商品を売りつけて社会問題化したこともある。

 1980年代に入ると、医薬分業が推進され、多くの薬局は保険調剤を手掛けるようになっていった。「薬局が調剤に飛びつき、OTC薬をあまり熱心に売らなくなった。つまりOTC薬を“手放して”くれたおかげで、ドラッグストアが成長した」と、あるドラッグストアチェーンの幹部は語る。

 1990年代はドラッグストアのチェーン展開が進んだ。マツモトキヨシが1999年に東証一部に上場したことが話題となった。

 当時からドラッグストア業界が抱えていた問題が、薬剤師不足だ。97年にH2受容体拮抗薬がスイッチOTC化され、薬剤師の常駐について、厚生省(当時)が厳しく指導する動きも見られた。大手チェーンを中心に、月10万円など高い薬剤師手当を払って薬剤師を確保しようという動きが活発化したのもこの頃だ。

 こうした薬剤師不在問題などからドラッグチェーン約200社が結束して、1999年に日本チェーンドラッグストア協会を設立。規制緩和策として、OTC薬販売を担う新資格の創設と、医薬品分類の見直しを求め、ロビー活動を展開した。その結果、2006年の薬事法改正で登録販売者が誕生し、薬剤師がいなくても第2類、3類のOTC薬の販売が可能となった。

 その後、医薬品のインターネット販売が一部を除き可能となり、アマゾンなど大手通販サイトが台頭する中、ドラッグストアを巡る経営環境は決して楽観できない。だが、ドラッグストアは、ヘルスケアなどの機能を強化し、食品を取り扱うなどして、着々と拡大してきた。そのしたたかさや変化に対応する力で、新しい歴史を作っていくだろう。
 

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