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特集◎あなたの知らないドラッグストアの世界《2》
ドラッグストアが薬学生の人気就職先に

 2015年に厚生労働省が示した「患者のための薬局ビジョン」では、国民の病気の予防や健康サポートに貢献するために、OTC薬などを適切に選択できるような供給機能や助言の体制を薬局に求めている。しかし考えてみると、これは従来からドラッグストアで取り扱う商品やサービスそのものといえる。

 また、薬局ビジョンでは、門前薬局から地域に開かれた面薬局へと移行するよう促しているが、ドラッグストアに併設した薬局は、処方箋集中率が低い面薬局が中心。実際、2018年度の調剤報酬改定では、大手薬局チェーンの門前薬局に対する適正化として集中率の高い薬局の調剤基本料の引き下げが行われたが、大手ドラッグストアの幹部は「影響がなかった」と口をそろえる。

 ドラッグストアに吹く“追い風”を敏感に捉えているのが、薬学生だ。今西氏は、東京薬科大学理事長を務めた経験から、薬学生がドラッグストアを就職先として選ぶ背景として、ヘルスケアに対する学生の関心の高さとともに、初任給の高さを挙げる。「今や奨学金を借りている学生が6割を占める時代。奨学金を早く返還したいと考える学生の多くは、ドラッグストアに行く」(今西氏)。

 公表されている初任給を見ると、ウエルシアホールディングスの場合、基本給で35万5000円。ツルハホールディングス傘下のくすりの福太郎(千葉県鎌ケ谷市)は月給32万3000円だ。一方、薬局チェーン大手のアインホールディングス(札幌市白石区)は24万5000円~35万5000円、日本調剤(東京都千代田区)は25万~31万円となっている。

 もっとも、ドラッグストアは初任給が高いものの、昇給の幅は小さく、生涯賃金は高くないという指摘もあるが、「学生には、魅力的に映るのだろう」と、ある大学の就職担当の教員は話す。実際にドラッグストアの就職率は上がっているようだ。

 例えば昭和薬科大学では、2017年度卒業生の就職先は、薬局38.3%に対し、ドラッグストアは21.6%。4年制だった2004年度の卒業生では、11.7%だったという。近年、製薬企業が採用数を絞ったり、大学院への進学者が減ったりという環境の変化はあるが、就職先としての存在感が増していることがうかがえる。

 ドラッグストア各社も、新卒薬剤師の採用に積極的だ。ウエルシアHDは2017年4月に約270人、18年4月は265人が入社した。ツルハHDも、最近は毎年140~150人が入社しているという。

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