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特集◎女性薬剤師1145人に聞いた、薬剤師の出産と子育て《4》
気付けば「働かせづらい人材」になっている?

 転職を経験した薬剤師が比較的多いのは、薬局が常に薬剤師不足であることの裏返し。事実、2018年3月の有効求人倍率(パート含む)は、全職種平均では1.46%だが、「医師・薬剤師等」は5.35%と完全なる“売り手市場”だ。

 このため、「時短勤務や有給休暇の取りやすさを条件に挙げる子育て中の薬剤師でも、引く手あまたの状況」と薬剤師の転職支援事業を手掛ける日経HRエージェント(東京都千代田区)コンサルティング部長の廣瀬智之氏は話す。

 とはいえ、あまりに自己都合を主張し過ぎれば、同じ職場で働く薬剤師の不満を招く。誰かが急に休めば、そのしわ寄せは独身や子どものいない薬剤師へと向かうことになるからだ。

 「出産・子育ては応援しなければならないことだが、突然の休みや早退への対応で、予定していた自分の休みがなくなったりすると、同性でもイラっと来る。とても応援できる心境にはならないこともある」(40代、正社員の薬局薬剤師、子どもはいない)。

 子育て中の女性薬剤師に対する雇用側の姿勢も、徐々に変わりつつある。これまでは手厚いサポートにより職場へのつなぎ留めを図ってきたが、女性薬剤師が次々と育休を取得し、復帰後に時短勤務に切り替えた結果、現場が回らなくなるケースが増えてきたからだ。

 現在は人手不足で求人も潤沢だが、将来は「働かせづらい人材」として、子育て中の女性薬剤師が敬遠される可能性も考えられる。実際に、「育休・時短を取った薬剤師が復帰する際に、あえて遠方の店舗への異動など厳しい条件を提示して、自発的に退職するように追い込むケースも散見される」と廣瀬氏は明かす。

 もちろん、出産・育児は人間として当然の権利であり、妊娠中あるいは育児中の女性を「お荷物」と見なして切り捨てるような職場は許されるべきではない。ただ一方で、「権利だから」と周囲の負担を考えずに休みや早退を繰り返せば、当然、職場での風当たりは強まる。既に一部の薬局が子育て中の薬剤師を敬遠し始めていることを考えると、今後、子育てを理由とした転職は「狭き門」になっていくかもしれない。

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