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特集◎新ガイドラインに学ぶ 小児気管支喘息Q&A《5》
吸ステの長期使用は成長を抑制するのか?
リスク・ベネフィットを踏まえた説明を

2018/03/19
坂井 恵

 「吸入ステロイドを長く使うと、身長が伸びなくなるのではないか」──。経口ステロイドと違って、副作用の心配が少ないという認識が浸透しつつあるものの、吸入ステロイドの長期使用による成長抑制を懸念する保護者はいる。

 実際、すずらん調剤薬局の上荷裕広氏は、かつて喘息患者の保護者が集まる相談会で、吸入ステロイドと成長抑制の関係について質問されたことがあるという。

 「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017」(JPGL2017)では、「小児喘息患者の長期管理において吸入ステロイドの長期使用と成長抑制に関連はあるか」というクリニカル・クエスチョンが提示され、見解が示されている。

 小児における吸入ステロイド使用と成長抑制の関係について検討した25の無作為化比較対照試験をメタ解析した結果、治療期間が1年の場合に吸入ステロイド群はプラセボ群と比較して0.48cm/年の成長抑制が認められた。また、成人期までをフォローした1試験では、吸入ステロイドで1.2cmの有意な成長抑制が認められたという。こうした結果から、JPGL2017では、「長期使用によって成長抑制と関連する可能性がある」と結論した。

 ただし、小児喘息の長期管理に吸入ステロイドが不可欠であることに変わりはない。そこで、成長抑制の副作用があることを踏まえ、リスクとベネフィットを十分に考慮した、適切な使用を心掛けるよう、改めて注意喚起している。

 では、心配する保護者にどう説明すればよいのだろうか。

 上荷氏は、前述の保護者について「よく聞くと、130~140cm程度で身長が止まってしまうのではないかという心配だった」と相談内容を振り返る。そこで、吸入ステロイドを使用したときの成長抑制の程度は、それほど大きくないこと、薬を使用せず夜間に発作を起こすことによる成長への悪影響もあること、吸入ステロイドを使用して喘息をしっかりコントロールすることの大切さなどを話し、理解してもらったという。

 「一番問題なのは、背が伸びなくなるとだけ聞いて、不安になって自己判断で薬をやめてしまうこと」(上荷氏)だ。薬局で相談に乗ることで、保護者が納得して治療に臨めるようにしたい。

 なお、JPGL2017では「吸入ステロイドで良好なコントロールが得られない場合、吸入ステロイドの増量と、吸入ステロイドにLABAを追加する方法のどちらが有用か」というクリニカル・クエスチョンも示されている。このクエスチョンに対しては、優劣についての明らかな差はなかったとして、「いずれも提案される」としている。

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