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特集◎どこに向かう調剤報酬改定《5》
分割調剤の推進、残薬対応の効率化を検討

「薬剤師の職能は対人業務。機能に応じた報酬体系にすべき」と、津田塾大学総合政策学部准教授の伊藤由希子氏は話す。

 2016年度調剤報酬改定に続き、点数の引き上げの対象となりそうなのが、重複投薬・相互作用等の防止や、残薬解消につながる取り組みだ。

 「薬剤師の職能や薬局の機能は、まさにこの点にあると考えている。それが医薬分業の成果でもある」。こう話すのは、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進委員会委員の伊藤由希子氏。医療保険部会など、厚生労働省の中央社会保険協議会(中医協)以外の審議会の場や、厚労省外からも同様の指摘は少なくない。

 こうした職能の発揮や薬局機能の強化を期待して厚労省が提案しているのが、分割調剤の推進と、残薬発生時の対応を効率化するための処方箋様式の変更だ。

 分割調剤については、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)にも「リフィル処方の推進」が盛り込まれている。ただし、ここでのリフィル処方とは、海外で行われているような、薬剤師の独自の判断で投薬期間を決める仕組みではなく、「あくまで医師の指示の下、服薬状況の確認や残薬解消を目的として行うものと認識している」(日薬の安部氏)。前回改定で認められた、長期処方の患者を対象とした分割調剤と同義といえる。ただし、現在の分割指示の実施率は診療所で5.8%、病院で7.7%とまだ低い。

 そこで厚労省は、医師が分割指示を出しやすくし、かつ指示を受けた薬局が調剤日や調剤した薬剤量など通常よりも多くの情報を記載できるよう、処方箋様式の変更を提案した。

 残薬については、前回改定時に処方箋にチェック欄を設け、残薬を確認した場合に薬局から医療機関へ疑義照会するか、情報提供するかを処方医が指示できるようになった。しかし、厚労省の調査によると、2割弱の医療機関が残薬発生に伴う薬局からの疑義照会は負担であると感じており、また疑義照会の結果、処方日数が調整される例が多くを占めていた。そのため、医師の判断がより明確に伝わるよう、これも処方箋様式を見直してはどうかとの案が示された。

 健保連の幸野氏は厚労省の提案を支持し、「残薬については、薬剤師の判断で日数変更し、処方医に事後報告すればよいのではないか」とさらに踏み込んだ。これに対し、日医の松本氏は「医療機関として残薬がいつ、どのような理由で生じたかなどを確認した上で判断する必要があり、単に薬の量を調整すればよいという話ではない」と反論。処方箋様式の変更についても、医療機関にシステム改修などの負担が掛かるため、「改定のたびに一方的に負担を強いるのは、いかがなものか」と疑問視した。

 さらに、多剤・重複投薬の適正化に向けては、薬剤師が積極的に処方提案した結果、処方が変更された場合に評価するといった案も示されている。医師と薬剤師が連携して多剤投薬の適正化に取り組むという方向性に対しては、中医協でも異議は出なかったものの、新たに評価することについては、「調剤報酬で評価しなくても処方提案はできる」(日医の松本氏)との声や、「薬剤師の本来業務として取り組むべき業務ではないか」などの反対意見もあった。これらについては、引き続き議論される見込みだ。


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