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メトホルミンの添付文書表記は、なぜ標準化eGFRなの?

2019/08/16

 「ウーン」と両手であごを支えたまま、誰もいない薬局の投薬台でケンシロウは考え込んでいた。炎天下の午後、クーラーの効いた薬局の大きな窓から外を見ると、近隣のクリニックでは診察が始まっている時間にもかかわらず、患者さんどころか、その駐車場には車1台すら見当たらない。

 再び、ケンシロウのうなり声が聞こえる。姿勢に変化はなく、こちらに気付く様子もない。待合の時計は休憩時間があと20分残っていることを告げており、僕はそっとバックヤードへ戻ろうとした。

 「あっ、ユウさん。今いいっスか?」。振り返ると、ケンシロウはiPad片手に立ち上がっている。僕は開きかけたバックヤードへの扉を閉め、告げられた20分を忘れることにした。

 「腎排泄型薬剤の投与設計のときは、個別eGFRを使うんですよね?」

 その通り。eGFR(推算糸球体濾過量)には2種類ある(*1)。単位がmL/min/1.73m2となっているものと、mL/minとなっているものだ。前者はCKDの重症度分類に用い、標準化eGFR(体表面積で補正したeGFR)という。後者は薬物投与設計に使用するもので、個別eGFR(体表面積未補正eGFR)と表現されている。

*1:この2種類のeGFRについては、鹿児島腎と薬剤研究会の記事が分かりやすく説明している。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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