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オキシコンチンがTR錠になると何が変わる?

2018/07/13

 2点も先制されたベルギー代表のごとく本気を出した梅雨前線の影響で、ひのくにノ薬局では、開店休業状態を維持していた。

 「あれ、オキシコンチンTRって……。オキシコンチンの新しい製剤が出たんですね」。デスクの整理をしていたあゆみさんは、製薬会社のMRさんが置いていったパンフレットを手にしている。「薬剤改変による乱用を防止することが目的なんだ。やっぱ、悪い事する人っているんですね」

 オピオイド・クライシス(鎮痛剤危機)。米国では、オピオイドの過剰摂取による死亡が7019人(2011年)から1万9884人(2015年)に急増している(JAMA.2017;318:423-4.)。錠剤を砕いて粉末状にし、水に溶解して注射するといった乱用が増えているためだ。カナダでも、2017年にはオピオイドの乱用により4000人近くが死亡しているとして、カナダ公衆衛生当局が「増大する深刻なオピオイド・クライシスに見舞われる状況が続いている」との見解を示している。

 日本では現在、医療用麻薬のほとんどが癌性疼痛の適応しか有していないが、今後は、海外と同じように慢性疼痛へと適応が拡大されていくと予想されている。さらに、在宅医療の推進。日本も今のうちに乱用への対策を講じておく必要がある。2018年3月には、厚生労働省が都道府県や関連学会などに宛てて「医療用麻薬の乱用防止製剤について」という通知を出し、米国食品医薬品局(FDA)が切り替えを推奨する、乱用防止製剤の特性を紹介している。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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