DI Onlineのロゴ画像

デパスとシクレストでクイズを出題したら

2017/07/04

 「ユウさん、日経から何か届いてますよ。本ですか?」

 ケンシロウから少し厚みのある水色の封筒を受け取る。送られてきたそれは2017年6月26日に発行となった『日経DIクイズ 精神・神経疾患篇』だった。掲載されている50題のクイズのうち、僕も2つ、デパス錠(一般名エチゾラム)とシクレスト舌下錠(アセナピンマレイン酸塩)で書いている。

 「ユウさん、あんま手を広げ過ぎないほうがいいッスよ」。ケンシロウは僕から書籍を受け取ると、パラパラとめくりながら語を継いだ。「精神・神経領域って、オレらそんなに得意じゃないじゃないですか。そのうちボロが出ますよ~」。

 ご忠告ありがとう。もちろん、それはよく承知している。その領域はまだまだ勉強不足であることは認めよう。しかし、僕は精神・神経疾患領域の薬を扱っているようであって、その実は違うのだ。

 「違う? えっと、ユウさんが書いたクイズって、デパスとシクレストでしょ? 何が違う…」。ケンシロウは言葉をフェードアウトさせながら、2つのクイズを交互に見比べている。そして、椅子に腰掛けてじっくりと読み始めるのだった。

 「ユウさんの言いたいことがだいたい分かりましたよ」。読み終えたケンシロウはうんうんとうなずきながら本を閉じて僕に差し出す。「剤形ですね。精神・神経領域が横糸なら、口腔内崩壊錠が縦糸ってとこですか」。そして、なぜか得意気にケンシロウは立ち上がり、中島みゆきの名曲『糸』を口ずさみ出すのだった。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

この記事を読んでいる人におすすめ