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ビラノアとアレグラに共通する相互作用とは?

2017/03/21

「っくしゅん!…おはようございます」

 駐車場でメガネ姿のあゆみさんと挨拶を交わす。気持ちの良い春の朝なのだが、花粉症の彼女にはつらい季節のようだ。「も~、今年は花粉ひどいです。今日、お昼休みに病院行ってきていいですか?」

 今年は花粉が多いと聞いている。今日のように天気が良ければなおさらだろう。それにしても、あゆみさんって、いつもはコンタクトレンズだったんだ。

 昼休み。僕がコンビニ弁当をかき込んでいると、病院からあゆみさんが戻ってきた。「Qちゃん先生に診てもらいました。薬、何にする?って、いきなり聞かれましたよ」。

 そう言いながらあゆみさんの処方箋を受け取る。どれどれ、新薬のビラノア(一般名ビラスチン)にアラミスト点鼻液(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)、そしてアレジオン点眼液(エピナスチン塩酸塩)。なかなかのお値段だ。どうやらあゆみさんのリクエスト通りの処方らしい。

 「先週、ビラノアの勉強会に参加したところだったし、眠くなっても困りますからね。ユウさん、まだ知らないでしょ、ビラノア。私がレクチャーしましょうか?」

 いやいや、処方が飛んでくるかもしれない新薬のキャラクターは一応押さえているつもりだ。眠くならない薬がいいのなら、僕なら小青竜湯や葛根湯加川きゅう辛夷だけどな。そう思いつつも、あゆみさんのレクチャーをありがたく受けることにした。

 「ビラノアはですね~、脳内ヒスタミンH1受容体占拠率はアレグラより低いくらいで、1日1回でいいんですよ」。あゆみさんは勉強会でもらった資料を僕に示しながら続ける。「でも、弱点があって、空腹時の服用なんですよ。食事の1時間前から食後2時間を避けないと吸収が落ちちゃうんですね、これが。日中の症状で困っているなら起床時で、夜間や朝起きてすぐの症状で困っているのなら就寝前っていうのが、基本的な用法ですね。あと最大の弱点は2週間投与!」

 眠気の少なさと用法が特徴的、と。僕は自分の記憶を呼び起こしながら、スマホでビラノアの添付文書を呼び出す。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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