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シュアポストとプラビックス、併用注意のなぜ

2016/02/24

 「おっ、シュアポストの添付文書が改訂になってますよ」。ケンシロウが、シュアポスト(一般名レパグリニド)の「使用上の注意改訂のお知らせ」と書かれた紙を手にして近付いてきた。「ユウさんがこの相互作用を教えてくれたのって、去年の夏でしたっけ?」

 たぶん、そのくらいだろう。Twitterのタイムラインが夏の装いだったのを覚えている。

 「ユウさん、Twitterもやってるんスね。わざわざそんな仕事絡みのことをつぶやかなくても……」

 いやいや、僕はつぶやいたわけではなく、リツイートしただけ。つまり、その情報のソースがTwitterだったのだ。

 Twitterは、その名の「つぶやき」という発信よりもむしろ受信、つまり誰をフォローするかが重要なツールだと思う。

誰かが質のいい情報源を発見すると、それを「リツイート」して自分のフォロワーたちに告知する。それがさらにリツイートされて拡がってゆく。そういう拡散する構造になっています。ですから、「質のいい情報源を発見できる才能」は、すでに「質のいい情報源」の資格を満たしていることになる。実際に、そういう人にコネクトしておけば、自分は何をしなくても、次から次へと流れるように質の高い情報が手元に流れ込んでくる。だから、ここでも自分が何を発信するかよりも、「誰をフォローしているか」が問題になるわけです。
――内田樹著『街場の共同体論』(潮出版社、2014年)P. 213-214


 「ソースがTwitterですか……。やっぱりオレもスマホにしようかな」。ケンシロウは折り畳み式のガラケーを取り出しては、ヌンチャクを扱うかの如く、パカパカさせている。僕はケンシロウがスマホを操作する様子を想像する。指で経絡秘孔(けいらくひこう)に気を送り込むかのように、画面にタッチ。そして彼のつぶやきの半分は効果音で埋まっている。あたたたたたーっ!!

 「そんなことより、このシュアポストとプラビックスの相互作用ですけど、てっきり併用禁忌になると思ってたんです。なんか納得いかないッスね」。ケンシロウがいきなり真面目モードにスイッチする。

シュアポストの添付文書改訂箇所(2016年1月改訂分、抜粋)

■併用注意
デフェラシロクス
クロピドグレル
スルファメトキサゾール・トリメトプリム

【臨床症状・措置方法】
低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から、血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、痙攣、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニター、その他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。特に、インスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加する恐れがある。併用時の低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤の減量を検討すること。α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはショ糖ではなくブドウ糖を投与すること。
【機序・危険因子】
CYP2C8阻害作用により、本剤の代謝が抑制されると考えられている。併用により、本剤の血中濃度が増加したとの報告がある。

■薬物動態
4.薬物相互作用
(3)クロピドグレル
健康成人(外国人)に、クロピドグレル(1日1回3日間、1日目300mg、2~3日目75mg)を投与し、1日目と3日目に本剤(0.25mg)を併用したとき、レパグリニドのCmax及びAUC0-∞は、本剤を単独投与したときと比較して1日目は2.5および5.1倍、3日目は2.0および3.9倍に増加した。また、t1/2は1.4及び1.2倍であった。
 
注:なお、2016年2月22日現在、プラビックス(クロピドグレル硫酸塩)の添付文書は改訂されていない。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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