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メトグルコの交付時に「用心」すべきこと

2014/11/25

 まだ18時なのに外は真っ暗。日が暮れるのが本当に早くなった。暗くなると帰りたくなる、これは自然なことだと思う。幸い、今日は来局患者も少ない。早番の僕は早々と失礼させてもらおうと片付けを始めたのだが……。

 「ユウさん、昼間の続き、忘れてませんよね? まさか帰ろうとしてます?」。ケンシロウは嘆息して、天井を見上げる。「お預けは勘弁してくださいよ。高用量メトグルコの副作用で、“何に用心するか”のことですよ」。(※これまでのあらすじは「メトグルコへのありがちな誤解と真の実力」を参照。)

 「私もその話、聞きたいです。もう今日は患者さんもいらっしゃらなさそうだし、続きをやっちゃいましょうよ」。あゆみさんがクリアファイルを抱えて戻ってきた。こうなるともう逃げられない。僕は目を閉じ、鼻から思い切り息を吸い込んで、喉元までせりあがってきていた「帰りたい欲求」をぐっと腹の底まで押し込めた。

 ケンシロウとあゆみさんが心配しているメトグルコ(一般名メトホルミン塩酸塩)の副作用とは、恐らく乳酸アシドーシスのことだろう(表1)。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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