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「オルメテックがアルドステロン・ブレイクスルーを起こしにくいのはなぜ?」
【6/11訂正】

2014/06/03

 「神は細部に宿る」とは誰の言葉なのだろう。細部こそが作品の本質を決める。そんな意味らしい。何もかもとは言わないけれど、確かに大事なことは細部から成っていると感じることがままある。

 19時過ぎ。患者がはけた薬局。ケンシロウはMRさんから情報提供を受けている。MRさんの相手は彼の仕事だ。それにしても、今日はMRさんの数が多い。全員を相手にするのに、優に30分は掛かっている。僕がバックヤードでコーヒーを飲んでいると、やれやれといった表情で、パンフレット片手に戻ってきた。

ARBのメーカーって、どこも自分のところが一番って感じでぐいぐい来ますよね。このパンフレットも露骨ですよ。『カンデサルタンからオルメテックに切り替えて、血圧が下がりました』って。まあ、確かにオルメテックは結構効いている印象はありますけど……。このデータを見ると、BNPも下がっているし、動脈硬化も良くなっている。でもこれって、血圧が下がればどれも同じ結果になりますよね」

 そう言って、オルメテック(一般名オルメサルタン メドキソミル)のパンフレットを差し出す。僕がそれを受け取ると、ケンシロウは同封してあったボールペンのノックの感触を確かめながら、コーヒーを入れにミニキッチンの方へ行ってしまった。

 『オルメテックの優れた降圧効果 -アルドステロンと心臓への影響-』と題されたこのパンフレット。最も訴えたかったところが、ケンシロウに見事にスルーされてしまった格好だ。

 このパンフレットにある「Change-over Study」の概要はこうだ。

【対象】カンデサルタン シレキセチル(以下カンデサルタン)を1年以上投与されている心臓手術施行後の臨床的に安定した外来通院中の本態性高血圧(診察室収縮期血圧>140mmHgかつ/または拡張期血圧>90mmHg)患者56例
【方法】プロスペクティブオープンラベルエンドポイント盲検試験。前治療として、カンデサルタン8mg/日が投与されていた患者はオルメテック20mg/日(n=14)、カンデサルタン4mg/日が投与されていた患者はオルメテック10mg/日(n=42)に切り替え、12カ月投与を行った。オルメテックへの切り替え後、他の薬剤の変更は行わないこととした。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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