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「どんな場合に、シベノールを300mg/日で始めるのですか?」

2014/04/01

 患者の波が途切れた晴天の午後、僕はあゆみさんと並んで、たまった薬歴をせっせと片付けていた。どうやら今日は残業しなくても済みそうだ。だが、あゆみさんは一つの薬歴につまずいている模様。彼女はシベノール錠(一般名シベンゾリンコハク酸塩)の添付文書を取り出してきて、「やっぱり……」とため息をつき、僕の方に向き直ってこう言った。

 「シベノールって、1日300mgから始めることになっていますよね。でも、うちで出るシベノールの初期投与量は1日100~200mgがほとんどで、300mgから始める人って、まずいないじゃないですか」

 確かに、シベノールの用法・用量は、「通常、成人にはシベンゾリンコハク酸塩として、1日300mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合には450mgまで増量し、1日3回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する」となっている。中でも、腎機能低下者や高齢者(特に低体重)に関しては、ただし書きが付いている。

シベノールの添付文書「用法・用量に関連する使用上の注意」より抜粋

1.本剤は下記のとおり腎機能障害患者では血中濃度が持続するので、血清クレアチニン値(Scr)を指標とした障害の程度に応じ投与量を減じるなど用法・用量の調整をすること。なお、透析を必要とする腎不全患者には投与しないこと。(本剤は透析ではほとんど除去されない。)
・軽度~中等度障害例(Scr:1.3~2.9mg/dL):消失半減期が腎機能正常例に比し約1.5倍に延長する。
・高度障害例(Scr:3.0mg/dL以上):消失半減期が腎機能正常例に比し約3倍に延長する。

2.高齢者では、肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすいので、少量(例えば1日150mg)から開始するなど投与量に十分に注意し、慎重に観察しながら投与すること。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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