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「リレンザで発疹歴のある患者さんにイナビルを投与してもいいですか?」

2014/02/04

 恒例の季節がやってきた。そう、インフルエンザシーズン。朝から晩まで、抗インフルエンザ薬にカロナール(一般名アセトアミノフェン)。最近は、検査でインフルエンザ陰性が出ると、がっかりする患者までいるから驚きだ。

 今年のインフルエンザは、タミフル(一般名オセルタミビルリン酸塩)とラピアクタ(ペラミビル水和物)に耐性を持つウイルスが確認されたという報道(関連記事)があったことで、リレンザ(ザナミビル水和物)やイナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)といった吸入薬の処方が多いようだ。吸入薬は手技が命。ゆえに、投薬に時間が掛かるのは仕方がない。

 黙々と調剤と服薬指導を繰り返していると、あゆみさんが電話を片手に駆け寄ってきた。SOSらしい。

 「Kさんにリレンザが処方されているんですけど、薬歴を見たら、副作用歴に『リレンザで発疹』とあって。今日初めてかかった医院らしいので、ドクターは知らなかったんでしょうね。それで、ドクターにどれを提案したらいいんでしょう。タミフルは何度か服用歴があって、特に問題はないんですが、Kさんは今12歳なのでタミフルは原則使わないことになっているじゃないですか。やっぱりイナビルですかね?」

 リレンザは副作用歴があるので使えない。患者は12歳なので、タミフルは原則使えない。そこで、イナビルという最後の手段(?)に打って出ようというわけだ。しかし、ここには大事な思考が欠落している。それは、イナビルがKさんに安全に使えるか否かということだ。

 「発疹が出るかどうかは、使ってみないと分からないし……。でも、疑義照会をするなら、代案くらいは用意しないと」とあゆみさん。

 その姿勢は素晴らしい。疑義照会をするなら、薬剤師の意見を伝えるのは当然だ。でも、消去法で絞り込んだだけのその答えは、本当に薬剤師の意見といえるのだろうか。結論を出すには、吟味が足りない。

 そこで、抗インフルエンザ薬の構造式を見ていくことにする。

 まずはタミフル。

著者プロフィール

山本雄一郎(阪神調剤ホールディンググループ 有限会社アップル薬局[熊本市中央区])
やまもと ゆういちろう氏 1998年熊本大学薬学部卒業。製薬会社でMRとして勤務した後、アップル薬局に入社。2017年4月にアップル薬局が阪神調剤ホールディンググループの一員に。ブログ「薬歴公開byひのくにノ薬局薬剤師。」を執筆中。2017年3月に『薬局で使える実践薬学』(日経BP)を発刊。2017年4月より熊本大学薬学部臨床教授。

連載の紹介

山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」
薬局で患者さんの何気ない言葉にハッとしたり、後輩からの意表を突く質問に筋道立てて説明できなかったりしたこと、ありませんか? そんな臨床現場に転がる疑問の裏には、薬学の根幹を成す真実が隠れていることも。それらの真実を、「薬局薬学のエディター」を志す熱血薬剤師の山本氏がモノローグ調で解き明かします。

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