
解説(『日経ドラッグインフォメーション』2010年12月号より)
クリオネ(札幌市中央区)では、ハイリスク薬が処方された患者への指導の際に参照する『ハイリスク薬note』を作成し、活用している。患者に確認すべきことや指導すべきポイントなどをまとめたもの。薬効群別の大項目があり、それぞれ薬効群共通の項目と薬剤ごとの項目に分けて詳述している。禁忌や重大な副作用、検査値などの情報も記載してあり、忙しい業務の中で資料をあれこれ参照しなくてもいいように工夫されている。
こうした支援ツールがあれば、「より多岐にわたる項目が確認ができるようになり、服薬指導の幅が広がる」と同社常務取締役兼薬事薬制担当の中井雅智氏。指導のマンネリ化を防ぐことができるという。
このハイリスク薬noteは、表計算ソフトのエクセルで作成した。電子薬歴用の端末を投薬カウンターに設置している薬局では、参照しながら服薬指導ができる。端末がカウンターにない薬局では、薬剤師は服薬指導の前に必要な部分だけ、画面でざっと確認してから患者のところへ向かう。プリントアウトしてファイリングしたものも、全店舗に配布してあるので、そちらを参照することもできる。
操作性にこだわったのも特徴の一つだ。例えば、トップ画面の目次で、参照したい薬効群をクリックすれば、そのシートにジャンプできる仕組みになっている。重大な副作用や禁忌がある薬剤は、マークが付いていて、そこにカーソルを合わせるとポップアップで内容が表示される。
電子薬歴の裏でハイリスク薬noteを立ち上げておくことで、すぐに参照できるのはもちろん、ワンクリックで参照した部分をコピーして、薬歴に貼り付けられるようにもなっている。コピーした文章を加筆修正すれば、薬歴記載の時間短縮にもつながる。
エクセルで作成しているので、店舗ごとの状況に合わせて書き加えやすいのもメリットだ。「みんなで使って、より質の高いものにしていきたい」と中井氏は話している。