
解説(『日経ドラッグインフォメーション』2010年12月号より)
旭川十仁薬局(北海道旭川市)は、耳鼻咽喉科医院の門前にあり点鼻剤や点眼剤などの外用剤の処方せんを受ける機会が多い。これらは特殊な容器に入っていることが多く、慣れないと使用方法がわかりづらい。「特に高齢者では使用方法が覚えられなかったり、握力が弱いなどの理由から、きちんと使えていないケースがある」と同薬局の高橋正幸氏。薬剤師による十分な指導と患者の理解度の確認が必要となることから、同氏は患者への説明ツールと指導のポイントを示した薬剤師用の指導支援ツールを作成した。
操作が難しい薬剤は、使用方法を解説した患者用ツールをメーカーが配布しているが、「よくできているものも多いが、必ずしも使いやすいとは限らない」と高橋氏。高齢者では、説明が詳しく書いてあると、面倒がって読んでくれないことが多いからだ。
そこで高橋氏は、メーカー作成のツールをアレンジし、文字を必要最小限にして、ポイントだけを大きな文字で簡潔に記載。細かいことは口頭で説明して、実際に手技をしてもらうことで理解しているかを確認する。
一方の薬剤師用の指導支援ツールは、患者がなぜうまく使えないかを探るためのもの。例えば「使用方法の理解不十分」「ステロイドへの抵抗感」といった使用できない理由や、多くの患者が陥りやすい間違い、理解しづらい点が細かく書いてある。参照することで、どこで患者がつまずいているかを洗い出せるようになっている。患者からよく聞かれる質問とその答えの記載もあり、参考になる。