DI Onlineのロゴ画像

はじめての日薬大会

2012/11/06

 ピシューワー……、ピピッ、カシャ

 左後ろから、しきりにデジタルカメラの起動音、シャッター音が聞こえる。この小一時間で、かれこれ二十回はシャッターを切っている。

 いまやカメラ市場はデジカメが主流になり、プリンタと印画紙の進化も相まって、写真は自宅で印刷する時代になった。また、フィルムからデジタルに変わったことによって、失敗を気にせず、残りのフィルム枚数も気にせず、誰でも気軽に大量に写真を撮ることができるようにもなった。

 一方、写真を撮る側にもマナーが求められ、街角でカメラを向ければピースサインが返ってきた時代から、無断で撮るんじゃねえ、と怒られる時代になり、イベントや美術館など、撮影禁止のブースもあちらこちらで見かけるようになった。技術が進化し、一般に普及すれば、そこにはルールが必要となる。

 そう、ルールが必要だ。いくら大ホールの3階席の隅だからって、講演中に音が出る設定のまま写真を撮るのはいかがなものか。睨んでやったが、白髪の男は意にも介さず写真を撮り続けている。

 薬剤師会の学術大会があるのを知ったのは、DIオンライン編集担当者Kさんのメールだった。原稿の直しに添えて、「ところで学術大会には行きますか?」と書かれていた。そういえばDIオンラインの連載陣の熊谷さんや原崎さんが、フェイスブックで、今年は浜松ですよ、と言ってたな。

 病院に勤めるようになってからは、「薬剤師会」ではなく、「病院薬剤師会」に所属するようになるので、受動的には薬剤師会の情報が入ってこない。

 この2つ、まとめてひとつにする動きはないのだろうか。情報を共有できるようになれば、お互いの視野が広がるのに。それぞれが発足した頃は職能の違いもあって、別にした方がよい意図もあったのだろうが。

 ともかく、病院薬剤師だからといって薬剤師会の学会に行ってはいけない、という法もないので、行ってみることにした。

 そして、オープニングともいえる瀬名秀明の講演を楽しみにしていたのだが、カメラ音が気になって集中できない。マナーとしてシャッター音くらい消してくれ。

 あまり薬剤師に関係ない話だったからか、隣の男性も要旨集をぱらぱらやりだしてポスター発表をチェックし始めた。

 瀬名秀明はいろんなロボットを紹介していて、エレクトーンを弾くロボットなんかは詳しく見てみたい。こういったロボットが日常に組み込まれてくると、調剤業務も楽になったりするのだろうか。

 しかし、気が散って仕方なかった。


著者プロフィール

とみの ひろみつ氏 東京理科大学薬学部卒。天然物化学専門だったが、研究に挫折して薬剤師として薬局に勤務。その後、薬局勤務を続けながら、ウェブクリエーター、ライターなどとして活動。2004年より千葉県の総合病院薬剤部に勤務し、現在は関連病院に赴任。執筆活動も継続中。趣味は音楽ゲームとプロ野球観戦。

連載の紹介

富野浩充の「当直室からこんばんは」
病院薬剤師として勤務する富野氏が、クスッとできて、時にホロリとし、たまにムカッとしてしまう病院業務の日常を赤裸々に綴ります。薬のことにはほとんど触れない個人のホームページはこちら登場人物の名前は全て架空のものです。内容は事実を元に再構成したフィクションです。

この記事を読んでいる人におすすめ