「寒い中、すみません」。「いえいえ、こちらこそ、来ていただいてありがとうございます」。自分の祖母くらいの人に、深々と頭を下げられる。「いやいや、やめてください」と言いながら、カゴに詰めた薬を後ろの座席から取り出して玄関に向かった。ちなみにカゴは、スーパーでよく使う買い物カゴと同じタイプのものだ。薬の他に、A4サイズの薬歴簿、医師のカルテなどを入れて移動している。
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著者プロフィール
とみの ひろみつ氏 東京理科大学薬学部卒。天然物化学専門だったが、研究に挫折して薬剤師として薬局に勤務。その後、薬局勤務を続けながら、ウェブクリエーター、ライターなどとして活動。2004年より千葉県の総合病院薬剤部に勤務し、現在は関連病院に赴任。執筆活動も継続中。趣味は音楽ゲームとプロ野球観戦。

連載の紹介
富野浩充の「当直室からこんばんは」
病院薬剤師として勤務する富野氏が、クスッとできて、時にホロリとし、たまにムカッとしてしまう病院業務の日常を赤裸々に綴ります。薬のことにはほとんど触れない個人のホームページはこちら。※登場人物の名前は全て架空のものです。内容は事実を元に再構成したフィクションです。
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