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アレルギー治療薬(その3)
抗アレルギー薬で押さえておきたいポイント

2011/01/10

 3回連続でアレルギー治療薬を取り上げて来ましたが、最終回となる第3回は、抗ヒスタミン作用をほとんど持たない抗アレルギー薬の特徴について解説します。

■はじめに

 I型アレルギー反応を抑制する薬剤とTh2サイトカイン阻害作用を持つ薬剤を総称して抗アレルギー薬と言います。今回は、抗ヒスタミン作用を持たない抗アレルギー薬について触れていきます。

 以下の薬剤は、後発医薬品があまり発売されていないため、患者の負担額が高くなる傾向にあります。基本的に即効性のある薬剤ではありませんから、発作症状を速やかに抑える薬ではないことを、患者にあらかじめ説明しておいた方がよいでしょう。


■クロモグリク酸ナトリウム(商品名:インタールほか)=1日3~4回 食前、就寝前

 ここでは内服薬について解説します。適応症が「食物アレルギーに伴うアトピー性皮膚炎」と、今回取り上げるほかの薬剤とは異なっています。

 服用後の吸収は1%未満です。食事の前に服用することで、薬剤が消化管内に広く付着し、これが食事に含まれる抗原をブロックします。ですから、食前服用する必要があります。「食後でも構いません」と服薬説明している場面を見かけたことがありますが、それはNGです。また、お湯などに溶かしてから服用するコツも教えてあげるべきでしょう。


■トラニラスト(商品名:リザベンなど)=1日3回

 妊婦への投与が禁忌ですので、注意が必要です。

 抗アレルギー薬には珍しく、アトピー性皮膚炎の適応を持ちます。ケロイドや肥厚性瘢痕に適応を持つのも特徴で、形成外科で良く用いられます。通常の抗アレルギー薬がI型アレルギーのみに効果があるのに対し、本剤はIII型アレルギーにも効果があると言われています。

 適応外ですが、III型アレルギーが関与すると言われる滲出性中耳炎に用いられたり、経皮的冠動脈形成術(PTCA)でステントを留置した場合や、気管支結核後の気管支狭窄に対してステント留置を行ったした場合の再狭窄予防にも効果があると考えられ、実際に用いられている処方も散見します。

 副作用として問題となるのが膀胱炎症状です。これは「なんとなくトイレが近いかも」という程度でなく、尋常でない症状として現れますので、事前の情報提供にも工夫が必要になります。もっとも、医師が末梢血中好酸球の検査をしていれば、あまり心配いらないかもしれません(尿検査でなく血液検査をします)。

 相互作用は、本剤の代謝にチトクロームP450(CYP)2C9が関与することから、ワルファリンとの新規併用時は注意が必要です。


■ペミロラストカリウム(商品名:アレギサール、ペニラストンほか)=1日2回 朝・夕食後(就寝前)

 妊婦禁忌であることに注意が必要です。


■オザグレル塩酸塩水和物(商品名:ドメナン、ベガなど)=1日2回 朝食後、就寝前
 気管支喘息の適応のみで、アレルギー性鼻炎の適応を持ちません。小児には禁忌であることが特徴的です。

 血小板で生成され、血小板の凝集作用を持つトロンボキサンA2の産生を抑制するため、出血傾向が起こりやすくなります。


■セラトロダスト(商品名:ブロニカ)=1日1回 夕食後

 本剤も適応症は、気管支喘息のみです。オザグレル塩酸塩水和物に作用は似ていますが、こちらは、トロンボキサンA2受容体を拮抗します。同様に出血傾向が起こりやすくなります。

 重篤な肝障害が起きることに要注意です。なるべく月に1回の肝機能検査をすることが推奨されています。

著者プロフィール

笹嶋勝(日本メディカルシステム株式会社〔東京都中央区〕)
ささじま まさる氏。大学病院でDI(医薬品情報管理)業務の責任者として8年間勤務した後、現在は、薬局チェーン「日本メディカルシステム」の学術部門長として勤務。東京薬科大学薬学部客員教授。

連載の紹介

笹嶋勝の「クスリの鉄則」
過去に自ら経験した症例やDI業務の中で収集した膨大な情報を基に、医薬品を安全かつ有効に使うために必ず押さえなければいけないポイントを整理し、後進の指導に活かしてきた笹嶋氏。本コラムでは、そのエッセンスを「クスリの鉄則」として紹介していきます。

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