抗不整脈薬に関しては、既に1月30日の本コラムで、Vaugham williams分類でIa群に分類されるジソピラミド(商品名:リスモダン)について、「腎機能が低下した患者には減量の必要がある」と解説しました。
今回は、これに続いて、Vaugham williams分類でIc群に分類されるピルジカイニド塩酸塩(商品名:サンリズムほか)、フレカイニド酢酸塩(商品名:タンボコール)、プロパフェノン塩酸塩(商品名:プロノンほか)の3成分について、その使い分けを紹介したいと思います。
なお最近、特に専門医は、抗不整脈薬の分類法として、Sicilian gambit分類を使うことが多くなっていますが、まだVaugham williams分類を意識して薬剤選択を行う医師も少なくないのが現状です。
■Ic群薬剤の全般的な注意
抗不整脈薬の効果を調査した大規模臨床試験CAST(Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)において、心筋梗塞後の心室性期外収縮に対し、突然死を防ぐためにフレカイニドやエンカイニド(日本未発売)を投与したところ、かえって死亡率を上がったという結果が報告されました。これを受けて、現在では、心筋梗塞後などに心室性期外収縮のある患者には、Ic群は投与すべきでないとされています。
■ピルジカイニド塩酸塩水和物(商品名:サンリズムほか)
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著者プロフィール
笹嶋勝(日本メディカルシステム株式会社〔東京都中央区〕)
ささじま まさる氏。大学病院でDI(医薬品情報管理)業務の責任者として8年間勤務した後、現在は、薬局チェーン「日本メディカルシステム」の学術部門長として勤務。東京薬科大学薬学部客員教授。

連載の紹介
笹嶋勝の「クスリの鉄則」
過去に自ら経験した症例やDI業務の中で収集した膨大な情報を基に、医薬品を安全かつ有効に使うために必ず押さえなければいけないポイントを整理し、後進の指導に活かしてきた笹嶋氏。本コラムでは、そのエッセンスを「クスリの鉄則」として紹介していきます。
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