DI Onlineのロゴ画像

バルトレックス:透析患者では投与量を「12分の1」に

2010/04/20

 帯状疱疹や水痘などに適応を持つ抗ウイルス剤のバラシクロビル(商品名:バルトレックス)は、単にアシクロビル(ゾビラックスほか)のプロドラッグというだけでなく、経口吸収性が高められ、バイオアベイラビリティが大幅に向上された薬剤です。

 このバラシクロビルで注意が必要なのは、蓄積による精神神経系の中毒症状です。特に、人工透析患者を含む腎機能低下者では、健常人と同じ量を投与しただけで、高頻度で中毒症状を引き起こしますから、薬局での投薬時には腎機能を必ず確認する必要があります。

 実際、私は病院勤務時代、帯状疱疹を発症した透析患者に健常人と同用量の1日3000mgが投与され、意識混濁を起こして救急搬送されてきた事例を経験しています。

 またバラシクロビルは、2006年までは帯状疱疹治療に使用する際の透析患者への投与量は「1日1000mg」とされていましたが、その量で処方されていたにもかかわらず、中枢神経系の副作用を発症した透析患者を2例、経験しています。これらの患者では、アシクロビルの血中濃度は明らかに高かったため、当時、製薬会社に対して「透析患者には1日1000mgでも多い」と連絡をした記憶があります。

著者プロフィール

笹嶋勝(日本メディカルシステム株式会社〔東京都中央区〕)
ささじま まさる氏。大学病院でDI(医薬品情報管理)業務の責任者として8年間勤務した後、現在は、薬局チェーン「日本メディカルシステム」の学術部門長として勤務。東京薬科大学薬学部客員教授。

連載の紹介

笹嶋勝の「クスリの鉄則」
過去に自ら経験した症例やDI業務の中で収集した膨大な情報を基に、医薬品を安全かつ有効に使うために必ず押さえなければいけないポイントを整理し、後進の指導に活かしてきた笹嶋氏。本コラムでは、そのエッセンスを「クスリの鉄則」として紹介していきます。

この記事を読んでいる人におすすめ