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ボクが生きた証拠

2020/03/18

Illustration:ソリマチアキラ

 今回は、ボクのかなりプライベートな話だ。ボクの母はご先祖様をとても大切にする人で、物心がついた頃から「墓参りだけは欠かしてはいけない」と厳しく育てられた。だから子どもの頃は春秋のお彼岸、お盆と正月はもちろん、事あるごとに墓参りに行っていた。

 ボクのうちは、それなりに立派な浄土真宗のお寺さんの檀家だ。墓地には様々な墓があるが、墓の位置や大きさ、しつらえなどから判断するに、うちの墓は“中の上”ランク(ご先祖様、ごめんなさい)。上ランクの墓としては、うちの墓の隣にある通称「伍長さんの墓」だ。「伍長〇〇の墓」と書かれた墓石はゆうに3メートルはあった。


 そして、その伍長さんの墓の向こうにはボクの小、中学校時代の同級生のT君の墓がある。彼は、中学3年生のときに白血病で亡くなった。亡くなる前のある日、T君がボクのあだ名の由来を聞いてきた。ボクはそのとき、「なんでだろうね」と言ってごまかした。 あだ名の由来が格好悪くて、答えたくなかったからだ。でもそれっきり、ボクはT君の疑問に答える機会を失った。ボクは墓参りに行くたびに、T君の墓に手を合わせて「あのとき答えなくてごめんね」と謝っている。

連載の紹介

薬局経営者奮戦記~社長はつらいよ
17年前に製薬会社を辞めて薬局を開設、現在は関西エリアを中心に25店舗を展開する薬局チェーンのオーナー(非薬剤師)が、薬局の開局・経営にまつわる失敗談、裏話を赤裸々につぶやきます。〔このコラムは「日経ドラッグインフォメーション」で連載されている同名の人気コラムの転載です。本コラムに関するご意見・ご要望は、「お問い合わせフォーム」にてお送りください〕

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